私たちが思い浮かべる忍者は、アニメや映画などから来ている。その草分け的な存在が、長編劇画「カムイ伝」を描いた白土三平さん(85)だろう。「カムイ伝」は、人間の平等や自由を描き、学生運動が盛んだった1960年代に若者の心をとらえた作品だ。白土さんに忍者への思いを聞いた。 ――忍者に関心を持つようになったきっかけは 戦争中、中学1年のときに今の長野県上田市に疎開しました。真田家ゆかりの地で、信綱(のぶつな)らの菩提(ぼだい)寺「信綱寺」が近くにありました。「鈴木君」という親友の家で猿飛(さるとび)佐助や霧隠(きりがくれ)才蔵の赤本をむさぼるように読みました。忍者は武士や農民ができないことをかなえてくれる存在ですが、私には、佐助らが格好良いというよりは素朴と感じられました。 ――作品には、動物の生態や自然を生かす様子が詳しく描かれています 疎開する前、東京・練馬でも農業はやっていましたが、長野で