先の衆議院選挙は周知の結果に終わったが、これほど「何が起こるかわからない」感がない選挙もかつてなかったのではあるまいか。実際、この選挙の何が面白かったのだろう? 自民党の「大物」どもの相次ぐ落選か? 「我々」は、自分で勝ち取ったわけでもない成果に欣喜雀躍することはない。彼らの敗北は「あらかじめ」決定されていたではないか。一昔前の野球における、リーグ優勝決定後から日本シリーズ開始までの間の消化日程に過ぎなかったのではないか。 これに比べると敗戦後しばらく、すなわち自民党と社会党の棲み分けが確立する「55年体制」の成立以前の選挙というのは、色々調べると面白いものがある。戦犯容疑者や翼賛議員の生き残りどもに、敗戦まで投獄や拷問や処刑の対象だった人々が、表舞台で真っ向からぶつかり合う機会を得たことは実に新鮮だったようで、「民主化」の高揚に伴い勃発した奇妙な事件の数々も、様々な人々によって記録されて