EV市場が冷え込んだ2023年、トヨタはハイブリッド車の売り上げを伸ばし、独り勝ち状態となった。 そして2024年5月には北米で水素事業本部を設立し、「未来の自動車」として普及を目指してきた水素自動車への投資も加速させている。 だが、ここにきて水素自動車「ミライ」に暗雲が立ち込めていると、米オンラインメディア「インサイドEVs」は報じる。一部のミライ所有者たちはトヨタに車両の買い戻しを求め、訴訟を起こすまでに至っている。
クーリエ・ジャポンのプレミアム会員になると、「ウォール・ストリート・ジャーナル」のサイトの記事(日・英・中 3言語)もご覧いただけます。詳しくはこちら。 金属商社を経営する中国出身のハヤシ・トモさん(45)は昨年、東京に移住した。すぐさま日本名を名乗り、湾岸エリアの高級マンションを約1億円で購入した。3月には家族を呼び寄せ、息子2人は日本の小学校に通い始めた。 ハヤシさんは東京の高級不動産ブームをけん引し、この都市のあり方を変えつつある多くの裕福な中国人の一人だ。 不動産業者や中国人富裕層の国外脱出の動向を注視する人々によると、中国の専制主義的な政治体制への不満──新型コロナウイルス規制による唐突なロックダウン(都市封鎖)の最中に高まり、その後も膨らむ一方だ──が国外流出に拍車をかけている。中国の景気減速と株式市場の不振も中国を出る動機になっているという。 ハヤシさんは東京への移住は大変だ
「化石燃料を掘るさ。ベイビー、掘るとも」 トランプが準備を進める「アンチ環境保護政策」の危険すぎる中身
2023年10月7日のハマスによるイスラエルへの大規模攻撃以来、イスラエルを一貫して支持してきたドイツ政府。同時に、国内でのパレスチナ人に連帯しようとする動きも封じられようとしている。それはイスラエルに反対するユダヤ人であっても同様だ。ドイツでいま何が起きているのだろうか。 イスラエルの安全はドイツの「国是」 ホロコーストで約600万人のユダヤ人を組織的に殺害した過去のあるドイツは、第二次世界大戦後、イスラエルを軍事・財政面などで一貫して支援してきた。さらに「決して繰り返さない」というスローガンの下に、国内ではユダヤ人に対する加害の歴史が積極的に教えられてきた。そうして過去を克服し、人権と民主主義を重視するのが、1990年に東西ドイツが統一されて以降、国家のアイデンティティとされたのだ。イスラエルとの特別な関係が強調され、「イスラエルの安全は、ドイツの国是」とされた。 2023年10月7日
「『ステーキは食べられるけど、牛の脳なんて、これまで聞いたなかでいちばん極端な食べ物だ』と人々が言ってもいまはおかしくありません。でも歴史を通じて、それは問うまでもないことでした。『どの文化で脳が食されたのか?』と問う必要などなかった。誰もがそれを丸ごと食べていたのですから」 そう語るのは、内蔵の料理本を書いたヘルスコーチのアシュリー・バンハウテンだ。 伝統的に、多くの文化で動物の脳はごちそうと考えられてきた。そしてそれは、無駄ゼロの精神からというだけではなかった。濃厚で、脂肪分に富み、繊細な脳の舌ざわりと風味はユニークで、しかも脳はほかの部位と比べて手に入れるのが難しかった。 動物ごとに脳はひとつしか取れないというだけではない。自身のブログ「オファリー・グッド・クッキング(内臓的にいい料理)」で内臓肉の摂取を啓蒙する料理記者のジャニン・ファルジンは言う。 「頭蓋骨を切り開くのがものすごく
日本の住宅メーカーは、需要が頭打ちとなった国内市場に見切りをつけ、米国進出に意欲的だ。「不況」と「労働力不足」という二大悪条件下で切磋琢磨してきた日本企業の参入は、米国の住宅事情に大きな変化をもたらすだろうと、英経済紙は指摘する。 遺灰を大きな風船に入れて成層圏で散骨する「バルーン葬」、嚥下しやすい柔らかいビスケット、運転免許証を自主返納した高齢者向けの割引サービス──少子高齢化はこれまで、日本社会に思いもよらない新たな商機をもたらしてきた。 さらに日本の人口動態の変化は、親と同居する18~29歳の米国人にも影響を及ぼそうとしている。2300万人に達するこの巨大な集団が、ついに実家から旅立つ日がやってくるかもしれない。 1月、日本の大手住宅メーカー積水ハウスが、米コロラド州で戸建て住宅事業を手掛けるM.D.C.ホールディングス(MDC)を49億5000万ドル(約7200億円)で買収すると発
食中毒の心配なしに食べられる「あたらない牡蠣」の生産を目指し、沖縄県・久米島で開発が進む牡蠣の陸上養殖。日本と同じく生牡蠣を愛する国、フランスの「ル・モンド」紙特派員が久米島へ、世界初の試みの現場を訪ねた。 プレハブの事務所、いけすのある温室、謎めいたコンクリートの建物……。日本の南端にある小さな島、久米島の海辺に建てられたこの施設で、「牡蠣養殖の革命」が起こっている。 日本企業ゼネラル・オイスター(GO)の子会社ジーオー・ファーム(GO Farm)が、この地で深海の水を使い、「あたらない」牡蠣を陸上養殖しているのだ。 「エイス シー オイスター2.0(8TH SEA OYSTER 2.0)」の陸上養殖技術の完成には、10年の研究を要した。「8TH SEA」とは、古代からの伝説にある7つの海に加えて、第8の海=深海を意味する。大量の水を循環させ、適切な餌を与え、最適な温度管理をおこなう。こ
大村大次郎さん(作家・元国税調査官)からの質問 現在、日本では、富裕層や大企業にばかり金が集まり、国民のほとんどは生活がどんどん厳しくなっています。この最大の要因は、富裕層や大企業にばかり優遇した税制、経済政策によるものだと思われます。 現在の日本では、政治家は大企業から多額の献金を受け、高級官僚は大企業に天下りするので、必然的に大企業や富裕層を優遇する政策に傾いています。政治家と高級官僚と大企業による「利権の三角関係」が日本を衰退させた大きな要因だと思われます。 この「利権」と「政治」の問題は、日本ほどひどくはないにしろ世界共通の問題であり、人類の積年の課題でもあると思われます。この「利権」と「政治」の問題を解決するには、どうすればいいと思われますか? ガブリエル・ズックマンの答え 民間のお金が政治に入ることを非常に厳しく制限する必要があります。 その手段として国民に「民主主義バウチャー
甘い言葉で若い女性をだまし、法外な料金を請求する悪質なホストクラブの手口を中国紙が取材。店への借金返済のために売春に従事させられた女性などに、恐るべき「洗脳」の手法を聞いている。 ユノがホストクラブの客引きの男から初めて声をかけられたのは、18歳のときだった。 「イケメンのホストとおしゃべりしてお酒を飲むだけの楽しいところ。怖いことは何にもない」──その言葉を信じて、店に入った。 ところが数ヵ月のうちに、ユノは150万円近い借金を抱えることになる。「愛している」と言ってくれたホストからは、たまった店への支払いを完済するよう迫られた。 そんな大金を持ち合わせていない彼女は、女性を食い物にする東京の性産業に放り込まれた。 請求金額を払えず、強制的に売春 現在20歳になったユノは傷つき、不安におびえる毎日を送っている。悪名高い東京・歌舞伎町で売春を強要される一方、ホストクラブへの借金は減るどころ
「200年の寿命」のはずが… 140個もの切り離し可能なカプセルを組み合わせた中銀カプセルタワーは、まさに20世紀を代表する建築物だ。このタワーを設計した黒川紀章が思い描くメタボリズム的な未来都市では、組み合わせたり切り離したりできる複数のパーツからなるビルがずらりと立ち並んでいた。その様子は、まるで生き物が成長し、体のパーツを増やしていくかのようだ。 黒川は2007年、亡くなる直前のインタビューでこう語っている。 「25年ごとにカプセルを交換すれば、中銀は200年もつでしょう。これはリサイクル可能な建築です。私は、サステナブルな建築として中銀カプセルタワーを設計したのです」 しかし年月とともに住人の大部分がいなくなり、中銀は荒廃していった。そして住人たちは、中銀をそのまま保存しておくよりも取り壊すことを選んだ。これは「建築界の悲劇」だ。 予定より数年遅れた2022年10月、タワーは解体さ
2023年第4四半期、中国のEVメーカーのBYDが米テスラを販売台数で追い抜き、世界に衝撃を与えた。同社の勢いは欧米で反発を買いつつあるが、その強さの秘密はどこにあるのか、英紙「フィナンシャル・タイムズ」が考察する。 トヨタも恐れる中国のEV トヨタが1世紀近くにわたって誇ってきたのは、複雑で高度な技術を要する自動車の製造コストを常に削減する能力だった。しかし、同社の電気自動車(EV)専任組織である「BEVファクトリー」プレジデントの加藤武郎は、2018年に中国を訪れた際に衝撃を受けた。 「中国の部品の競争力を初めて思い知りました」と彼は2023年10月、同社メディア「トヨタイムズ」に語っている。「当時日本で見たこともない設備がズラッと並んでおり、最新鋭のモノづくりを目の当たりにして『やばいぞ!!』という危機感」を覚えたそうだ。 加藤の心配は正しかった。2023年、中国は日本を抜いて世界最
建築家として世界に名を馳せる安藤忠雄。2023年、米国の大富豪たちが相次いで彼の建てた住宅を購入しているとして、この建築界の巨匠が改めて世界から注目された。 きっかけは5月、歌手のビヨンセとラッパーのジェイ・Z夫妻が、安藤が設計したカリフォルニア州マリブの海沿いの邸宅をおよそ2億ドル(約280億ドル)で購入したこと。これはカリフォルニア州の住宅としては歴代最高額だ。 リアリティー番組のスターや矯正下着ブランド「スキムス」の共同創業者として知られるキム・カーダシアンも、カリフォルニア州パームデザート近くに建設予定の住宅について、過去2年間にわたり安藤とともに取り組んできたことをインスタグラムで明らかにした。 さらに2021年には、ビジネス用チャットツールを手掛けるスラックの共同創業者、スチュワート・バターフィールド夫妻がニューメキシコ州サンタフェ近郊にある安藤設計の農場を、ファッションデザイ
英ロンドンのコミコンで「塊魂」の王様のコスプレをしたファン Photo by Dan Kitwood/Getty Images 2004年『塊魂』という名のユニークなゲームが発売された。キャラクターが塊を転がしていくアクションゲームで、画鋲や鉛筆から果てはタンカーや高層ビルまでひたすらモノを巻き込んでいく。アメリカでも同時発売され(英語タイトルは『Katamari Damacy』)、いまでもカルトゲームとして愛されている。 米紙「ニューヨーク・タイムズ」は、『塊魂』を「シュールなキャラクターとシンプルな操作性、キャッチーなサウンドトラックが、2004年のプレイステーション2用ゲームを傑作に変えた」と絶賛。20周年を迎えるいま、生みの親である高橋慶太に独占取材をおこなっている。 「芸術を作っても役に立たない」 武蔵野美術大学で彫刻を専攻していた高橋は、ゲームクリエイターに転向することを決意し
2023年10月、米カリフォルニア州の教育研究機関「ハンティントン・ライブラリー」に移築された庄屋が一般公開された。香川県・丸亀で300年以上受け継がれてきたこの建築は、なぜ丸ごと米国へ移されることになったのか──米紙「ロサンゼルス・タイムズ」が、壮大なプロジェクトの裏側を報じた。 古い庄屋が海を超える 美術館と庭園が併設されたハンティントン・ライブラリーには、日本の庄屋がある。築300年のこの木造の建物はかつて、丸亀の小さな農村に建っていた。 これがハンティントンの日本庭園に移築された経緯は、庄屋そのものに負けず劣らず魅力的だ。 移築には8年近くかかった。数々の交渉、煩雑な事務手続きに加え、約3000平方メートルの家と庭を解体し、組み立て直し、場合によっては新たに作り直す作業には、熟練の大工の力が欠かせなかった。 代々受け継いできた家をハンティントンに寄贈したのは、ロサンゼルス在住の横井
ウクライナ北東部の前哨基地で任務についていたとき、アラスカ(30)はロシアのドローン攻撃によって骨盤と大腿部を負傷した。 アラスカは、ウクライナ軍の衛生兵である彼女のコードネームだ。 火の手が上がる基地から安全な場所に避難すると、アラスカは別の部隊に所属する恋人に、「負傷者」を意味する暗号を使ってメッセージを送った。 「私、いま300」 この短いメッセージは、感情面と肉体面における2人の新しい関係の始まりを告げるものだった。それは、ウクライナの多くのカップルが経験している変化でもある。 『リセックス』に書かれていること 2022年2月にロシアがウクライナに侵攻して以降、戦争によって重傷を負ったウクライナ兵は数万人に上り、帰還兵の多くは車椅子や義肢に頼らざるをえない生活を送る。手足の切断や顔面の損傷など、戦場で負った重度の外傷によって彼らの人生は一変した。 負傷兵は英雄として賞賛される一方、
モンゴルにいる多くのチベット仏教徒を導く「ボグド」の地位に、8歳のモンゴル人の少年が指名された。だが、それはモンゴルが中国とダライ・ラマの政治的な駆け引きに深く巻き込まれることを意味する。その複雑な事情を、米紙「ニューヨーク・タイムズ」が現地で取材した。 その少年は、裕福で世俗的な人生を送る運命にあると思われていた。モンゴルの鉱業大手グループを経営する一家に生まれた彼には、首都ウランバートルにある本社からグループを導くために選ばれる日がやがて訪れたかもしれない。 ところが、その8歳の少年はいま、ダライ・ラマと中国共産党の争いの中心にいる。 すべてが変わったのは、彼がほんの幼児だった頃だ。ウランバートルにある広大な寺院を訪れた彼の父親が、彼とその双子の兄弟をある部屋に連れていった。そこでふたりとほかの少年7人は秘密の試験を受けた。 子供たちは、宗教儀式に使う物が散乱した卓を見せられた。親のそ
韓国・ソウルの地下鉄は、65歳以上は運賃無料で乗車できるため、1日中市内をぐるぐる周って暇をつぶす高齢者が多い。その背景には高齢者の貧困や孤独など、日本にとっても他人事ではない超高齢化社会ならではの問題があった──。 とくに行くあてもなく… 地下鉄は、ソウル北部の終点に向かってゴトゴトと音を立てて走っていた。途中の停車駅では大勢の人々が目的地に向かって颯爽とした足取りで降りていく。 都心から遠く離れると高層ビルはまばらになり、午後の日差しが車両の奥深くに入り込む頃には、高架線になった。終着駅が近づくと、車内に残っているのは高齢者ばかりで、居眠りをしたり、窓の外を眺めたり、肩をほぐしたりしている。 蒸し暑い8月のこの日、麦わら帽子に白いアディダスのスニーカー、パリッとした韓服を着たイ・ジンホ(85)は、自宅から地下鉄を2本乗り継ぎ、1時間以上かけて終点の逍遥山(ソヨサン)駅までやって来た。
セルビアのゲノム情報が中国にわたっている可能性 中国からファイア・アイを2つ授与されたセルビアは、新型コロナウイルスによる死者を1万8000人も出した。同国の人口は約700万人で、この死亡率は世界的に見れば高いが、バルカン半島の近隣国よりはましだ。セルビアの高官やビジネスリーダーは、中国に対して感謝の意を繰り返し表明した。習近平に感謝を示す、巨大な看板も首都に掲げられた。 一方、セルビアがEUから受けた支援はもっと大きかったにもかかわらず、親EUの看板はなかった。同国は、20年前のコソボ紛争においてNATOに首都を空爆されたことに対する恨みをいまだに抱えている。 2021年12月、セルビアは、ベオグラードに設置したファイア・アイを郊外に移転させ、「セルビアゲノム解読・バイオインフォマティクスセンター」を発足させた。中国製の設備を使用する遺伝子検査のための常設施設だ。BGIの専門家がその設立
台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設が日本で始まってから、地元の熊本県菊陽町は賃金や地価の高騰、人材不足など、さまざまな問題に直面しているという。世界的な半導体製造企業の進出は、最低賃金が日本で4番目に低い熊本県の経済をどう変えるのか。現地を取材した英紙は、「菊陽町の変化は、日本が抱える課題の縮図だ」と指摘する。 熊本県菊陽町で始まった新たな時代を、地元の人々は「TSMCショック」と呼ぶ。 2022年4月、半導体受託製造の世界最大手・台湾積体電路製造(TSMC)が日本国内初となる工場の建設を開始した。以来、この小さな町とその経済は劇的に変化しつつある。 吉本孝寿・菊陽町長は本紙の取材にこう語る。 「TSMCの到来は寝耳に水でした。菊陽町が突然、有名になってしまって、まるで私たちの町が赤ん坊から急に大人になったようです」 「TSMCショック」は日本の課題の縮図 半導体の供給をめぐる地政学的
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