日本を大きく揺るがした戦後最大の政治スキャンダルは、田中角栄元首相が受託収賄罪などで有罪判決を受けたロッキード事件だ。事件に憤りを感じたポルノ俳優が政界の大物フィクサーの自宅に小型機で突っ込む事件もあった。 ロッキード事件の発覚から半世紀が過ぎようとする今、長期政権を維持している自民党を裏金疑惑が直撃している。今回の疑惑を単なる政治資金の記載漏れという問題として片付けてはならない。 裏金に関与し、将来の首相候補と目される多数の議員を巻き込んだこの疑惑は、米国の最も重要な同盟国である日本の政治システム全体を根底から覆す可能性がある。 「奇妙な日本」という語り口で日本を報じることの多い世界のメディアは、このスキャンダルにまだあまり関心を示していない。しかし、日本政治の専門家で安倍晋三元首相の伝記作家であるトバイアス・ハリス氏は最近、これは「一世代に1度の政治危機」であり、広範囲に影響が及ぶ公算