恋人の元恋人たちは、眩い輝きをまとって美しい幻想として私の前に現れる。現実に生きる私は幻に存在する彼女たちにかなわない。生湯葉シホによる嫉妬という感情がもたらすものへのエッセイです。ああもう馬鹿馬鹿しいって、自分でも思ってる。 友人と並んで歩いていたとき、「シホさんって背何センチ?」と急に聞かれた。150だよと言うと彼女はちょっとホッとした顔になって、「よかった、152くらいかなって思ってた」と笑った。152だと困るの? と聞くと、「ほんとくだらないんだけど」という前置きのあとに、こんな話をしてくれた。 ■152.5センチという数字に宿る魔力 彼女は先日彼氏と同棲を始めたばかりだったのだけれど、彼が前の家から持ってきた荷物のひとつに体重計があった。ある日、彼女がリビングに置かれた体重計になにげなく乗ってみると、「170.5cm/25歳」という文字が表示された。それは彼氏の身長だったから、自