僕が香港空港に着いた頃、すでに交通は麻痺しており、市民の包囲している立法会がある香港島までの交通手段は鉄道のみだった。 混沌と不安の中を鉄道は香港駅に滑り込む。 午後3時過ぎだったか、疲れ切った表情の黒ずくめの若者たちが香港駅構内に座り込んでいた。 JAPANESE PRESSと手書きで書かれた僕の背中を見て、彼らが次々に親指を立てる。 香港警察はすでに立法会のある金鐘、中環、香港駅と地下鉄で3駅分、市民たちを排除し押し返していた。警官隊の手に銃が見える。 沖縄でいつもそうしているように、警官の表情をひとりひとり撮ろうとすると、ある警官は僕を睨みながら、その警棒で自らの脚のプロテクターをバシバシと叩いて威嚇した。いつでも殴りつけてやるぞ、という闇雲な暴力性を感じた。 青い警官隊とさらに黒い警官隊がいて、そちらはさらに重武装していた、のちに大陸から来た軍人であるとの説が出るのがこの警官隊だ。