安倍晋三首相が政権に復帰して6年半。権力が放つ強い磁力に吸い付けられるように、首相官邸の意向が霞が関で忖度(そんたく)される構図が強まっている。それが社会に影響を及ぼし、さらに政権基盤を強める「磁界」を形成していく――。長期政権がもたらす政治、社会の変容について、夏の参院選を前に考える。 21日夜、東京都内のホテルであった自民党細田派のパーティー。同派出身の安倍晋三首相が12年前の参院選敗北から野党転落までを振り返り、「悪夢のような民主党政権が誕生した」と語ると会場は拍手と笑い声にあふれた。14日には麻生派パーティー、16日、20日の党会合でも民主党政権を「悪夢」と表現している。 この6年半、首相にとって、政権批判には民主党政権批判で切り返すのが定番だった。政権の強い磁界の外にあり、自らが「敵」と見定めた相手には、容赦ない言葉で攻撃する。それが2012年12月の政権復帰以来の姿勢だ。 「攻