通算100号目は世界的な現代美術家である杉本博司の特集号。(提供=Courtesy of Edition Cahiers d'Art, Paris) ■ピカソ、ミロが愛した美術雑誌とは アート業界には、コレクター垂涎の伝説的な美術雑誌が存在する。『カイエ・ダール』は1926年にパリでクリスチャン・ゼルボスにより前衛的な美術雑誌として創刊された。当時彼と親交の深かったピカソやミロ、マティス、デュシャンなど名だたる作家がこの雑誌のためにオリジナル作品を制作し、ブルトンやヘミングウェイが詩や美術批評を寄稿した。 広告は無く、特集ごとに紙や製本、印刷など細部にまで美意識を徹底させ、雑誌自体が一つのアート作品として今なお世界的に評価されている。かの岡本太郎も、数々の特集に大きな衝撃と影響を受けたことを書き残している。この唯一無二の美術雑誌は、ゼルボスの死去により1960年に惜しまれつつ休刊するま