「トルコ軍もグルジア国境に集結していた」 筆者が昨年(2008年)11月にロシアとの紛争後のグルジアに赴いた際、親しい知人が漏らしたこの言葉が忘れられない。日本では、小国グルジアが北の旧宗主国ロシアに必死に抵抗する姿に注目が集まった。 しかし、軍の動きについて確認はできていないものの、南西に位置するもう1つの地域大国トルコの動きにも大きな注意が払われてしかるべきであろう。 トルコとロシアの蜜月 グルジア紛争からちょうど1年を経ようとする2009年8月6日、ロシアのプーチン首相はトルコを訪問し、首都アンカラでエルドアン首相と会談した。ここで、ロシアの主導するガスパイプライン「サウスストリーム」へのトルコの協力が表明された。ロシア側も黒海から地中海に抜ける石油パイプライン「サムソン・ジェイハン」への原油供給を約束した。