「アメーバ独自の環境に接近しようとするならば、彼の周辺一般がわれわれ自身にどう見えるかというようなことは忘れなければならない。(…)多彩な対象は、アメーバ自身の見地からは問題とはならない。かれら自身にとっては弱いか、あるいは強い刺激、それのみが存在するからである」。 「タコ類は、われわれに新たな基幹的事実を呈示した。それはつまり、同一の動物内に二つの内的世界が展開しうる可能性である。その一つは〈中枢内の内的世界〉であり、もう一つは〈脳内の内的世界〉である」。 20世紀前半の生物学に〈環境世界〉という画期的なパラダイムを導入したユクスキュルの主著。専門生物学の枠を超えた思想書、哲学書としての性格をもち、その革新性は遠くサイバネティクス、動物行動学、カオス‐複雑系から自己増殖オートマトン、人工生命理論、さらに情報理論、記号論までを射程に収める。 「すべての生物を包括するような、唯一の普遍的かつ