⇒柳田國男vs.フレイザー? - Living, Loving, Thinking によると、『旅する巨人―宮本常一と渋沢敬三』(佐野眞一)に以下の文章があるという。 岡が柳田に会ったのは、卒業論文を書く際、自分で翻訳して参考にしたフレイザーの『王制の呪的起源』の序文を柳田に書いてもらおうと考えていたためだった。岡は同じフレイザーの大著『金枝篇』*2も、東大新人会の佐野学*3から原書で借りてすでに読んでおり、穀霊である神聖王の殺害によって王権が更新されるというフレイザーの学説は、新興のエスノロジーを目指していた岡にとって新鮮な驚きだった。 ところが柳田は、岡の申し出を言下に拒否したばかりか、出版するなら妨害するというまでの強硬な態度に出て岡を驚かせた。柳田は前年の大正十二年、国際聯盟統治委員会の委員としてヨーロッパを歴訪中、ジュネーブで直接フレイザー自身と会っており、その学説を知悉していた