グローバリゼーションの中の意味構成の多元化 ──機能的分化と多元的文化── 徳安 彰 1.問題設定 本報告では、ルーマンの世界社会論を参照しながら、グローバリゼーションの中の意味構成の多元化を、社会システム理論の立場からどのように定式化できるか、という問題を検討する。 2.国民社会から世界社会へ 社会システム理論において、社会(society)と社会システム(social system)の区別を導入したのはパーソンズだった。その場合、社会とは自給自足的で包括的なまとまりを持つ単位であるとされ、社会システムとは社会の中の特定の機能にかかわる単位であるとされた。 パーソンズは、現代における社会の具体的なレファレントを、国民国家の境界によって区切られた国民社会にとり、それ以後の社会学の議論においても、社会を国民社会と同一視する傾向は、基本的に変わっていない。早くからグローバル社会学の構想を提示し