■■第1章:スファラディ系ユダヤ人とアシュケナジー系ユダヤ人の格差 ●1967年の6日戦争(第三次中東戦争)後の経済的繁栄と資本主義的発展にともなって、イスラエルでは急激な社会的変化が表面化した。二代目、三代目の若者達が、清教徒的態度で国造りに励んできた初代開拓者たちにとって想像を絶したラディカルな造反を起こしたのである。 シオニズムによって建てられたイスラエルの指導者階級は、ロシア、ポーランドを中心とする東欧系ユダヤ人(アシュケナジム)とその子孫である。これに対し中東と北アフリカのアラブ諸国から難民として流入してきたユダヤ人(スファラディム)は、イスラエル社会の底辺を形成する。建国直後は全員貧しかったため問題はなかったが、イスラエルが経済的成長を遂げると両者間のギャップは社会的差別となって表面化した。 ●この「スファラディム」とは、ヘブライ語で「スペイン」の意味。本来はイベリア半島のユダ