9月11日、リビア東部ベンガジの米領事館が武装集団に襲撃され、駐リビア米大使のクリストファー・スティーブンスと大使館職員3人が殺害された。エジプトの首都カイロでも同じ日、米大使館の国旗が焼かれる事件が起きた。 引き金となったのは、イスラム教の預言者ムハンマドを揶揄する内容のアメリカ映画。大使殺害の数日前からイスラム圏の各地で映画に抗議するデモが勃発しており、怒りの炎は事件後もチュニジアやモロッコ、スーダンなどに次々に飛び火している。 問題の映画を製作したのは、「サム・バシル」と名乗る自称イスラエル系アメリカ人の不動産開発業者。彼はイスラム教の偽善ぶりに注目を集めるために映画を作ったと主張している。 だが、この男の素性は謎だらけだ。領事館襲撃を受けて姿を消した後も電話で多くのメディアの取材に応じているが、その情報は矛盾に満ちている。ウォール・ストリート・ジャーナルには自分は52歳だと話し、A