TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)については、先の衆議院議員総選挙においても争点の一つとして取り上げられたが、自民党に政権が代わった現時点においても日本政府による正式な参加表明の見通しは依然として不透明な状況である。 TPP参加には様々な賛成・反対論が出ているが、不動産・建設産業においてはそれほど大きな議論とはなっていない。しかし関税撤廃などの自由貿易についての定めに限定される従来のFTA(自由貿易協定)と異なり、TPPはサービス貿易、投資、知的財産権、政府調達など21分野(日本政府の分類)にわたる包括的な協定であり、本業界においても影響を被る可能性は否定できない。また、日本政府が直接交渉に参加しているわけではないので、現在交渉の論点がどこにあるかも正確に掌握されているわけではない。 この21項目の中で不動産業に最も関連しそうな分野は、投資分野であろう。これは内外投資家の無差別原則(内国