秋は渡り鳥の季節です。 渡ってくる鳥は色々ありますが特に日本人に印象深かったのは雁でした。 古代の人はその秋、渡ってきた雁の声を聞き漏らすまいと熱心に耳を傾けました。 初めて渡来した雁を「初雁」 その声を「雁が音」という美しい言葉で表し、 そしていつの間にか「かりがね」は雁の別名となったのです。 雁はその名のごとく「グヮングヮン」とか「カリカリ」と心に染透るように鳴きます。 またその整然と空を渡るさまは神々しささえ感じさせ「天つ雁」とか 「遠つ人、雁」とも呼ばれ霊鳥とされていました。 「さ雄鹿の 妻どふ時に 月をよみ 雁が音聞こゆ 今来(く)らしも 」 巻10の2131 作者未詳 「月をよみ」月が良いという意味で ( 皓々と光があたりを照らして 良い月夜だなぁ。 妻を求めて雄鹿が鳴いている。 あれっ 遠くから雁の鳴き声まで聞こえてきたよ。 今年も初雁がやって来たらしいなぁ。 まるで鹿と雁の