ニューヨークのアートシーンがソーホーからチェルシーに移っておよそ25年、いま「ブッシュウィック(BUSHWICK)」が急速に注目を集めている。本稿では、アート、政治、文化を鋭く深く捉えるアート誌『ブルックリン・レイル(Brooklyn Rail)』の編集者サラ・ロフィーノ氏特選の新しいスペースとアーティストのスタジオ訪問も含めて、「ブッシュウィック」の最新情報を紹介したい。 ソーホーからチェルシー、そしてブッシュウィックへ 80年代終わりごろ、ソーホー同様に地価の安い倉庫街だったチェルシー地区は、ミートパッキング地区の開発とハイラインの再開発などで、いまや世界で最もハイスタイルなエリアとなっている。ホイットニー美術館もマディソン街から移転し、5月に新設オープンする。画廊だけで現在約300件が隣接しているのである。しかしその発展に伴い、地価は高騰し、当然のことながらアーティストや若手ギャラリ