「あなたの話、何言ってるのか、さっぱりわからないわ」と、アリスは言いました。(ルイス・キャロル『不思議の国のアリス』、脇明子譯、岩波少年文庫、89頁) 企業經營の經驗があつても、經濟の仕組みを理解してゐるとは限らない。桁外れの讀書量を誇つても、正しい智識を身につけてゐるとは限らない。日々大量の文章を書いてゐても、論理的な思考ができるとは限らない。意外かもしれないが、いづれも眞實だ。有名ブロガーの小飼弾が最近「アゴラ」に寄稿した文章「資本主義の反対、社会主義の反対」を讀むと、それが嫌でもわかる。 小飼氏によると、むかしむかし、「純粋な資本主義」とやらの時代があつた。この世界では、事業に金(資本)を出した者、つまり資本家しか事業の成果を受け取ることはできない。腕の良い經營者を雇つても、金を出してゐない以上、拂ふべき報酬はゼロと言ふ。 しかしこれは非現實的な妄想だ。經營者が一錢の報酬も與へられず
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