『資本主義・社会主義・民主主義』(Capitalism, Socialism and Democracy)とは1942年にヨーゼフ・シュンペーターによって発表された民主主義研究の著作である。 1883年にオーストリアで生まれたシュンペーターは、同国の財務大臣を経験した。本書では、資本主義の発展が不可避的に社会主義への移行をもたらすこと、ならびに民主主義の本質についての議論を展開している。 18世紀の思想家の言う民主主義とは人民による人民の支配であり、ルソーはそれによって一般意志が実現されると考えた。また、功利主義者たちは、そうした人民の意志によって最大多数の最大幸福が実現されると考えた。こうした個々の人民の意志と人民全体の意志が一致するという理論を、シュンペーターは古典的民主主義学説と呼び、そこから現れるものを公益と理解した[1]。 しかし、シュンペーターは、個々の人民や内部集団が思い描く