理化学研究所(以下「理研」という)の小保方晴子氏のNature論文や博士論文の不正問題は、問題自体よりも関連機関のその後の対応のあり方が、今後の日本の学位や科学的研究への国際的信用に影響する可能性が高く、その点がむしろ重要なのだが、これまでの経緯は取り得た幾つかの選択枝の中で最悪に近いコースを進んでいると筆者には思える。その理由を述べたい。 まず最初に研究に不正の疑いがある場合の審査のあり方についてである。筆者が問題にしているのはSTAP細胞の有無についてのNature論文の「実験結果」の再現性に関する検証のあり方である。不正が疑われる実験や分析結果の検証について筆者の知る米国などでの基本ルールは、利害関係のない第三者によってされねばならないという原則である。 筆者は過去に米国の2大研究財団である米国国立科学財団(NSF)と米国国立保健研究所(NIH)の特定部門の常任審査員をそれぞれ数年勤