「メンターは特にいない」という矢野だが、イトーヨーカ堂の伊藤雅俊名誉会長に会っていなかったら、今日の自分はなかったといってもいいくらい、影響を受けたという。 初めて伊藤会長を訪ねたときのこと。相手は大会社の会長。少し話せるのがせいぜいだと思っていたら、1時間を過ぎ1時間半を過ぎても話は続き、その間、いろいろな人を呼び付けては、ずっと怒鳴りながら指示を飛ばしていた。 これまで松下幸之助のように、組織を動かすことに重点を置くのが経営者だと信じていた矢野は、驚くとともに、商人のあり方について深く感銘を受けたという。 経営者というのは八百屋のおやじでいいのだ。必死になって一所懸命怒鳴って社員を教育することが'商人の謙虚さ'なのだと、伊藤会長に出会って悟った。 これまで、細かいことをくどくど言うのは恥ずかしいこと、しつこいのは良くないことだと思っていたが、伊藤会長に出会って、その考えは大きく変わった