自らも政治家だったゲーテは、政治も学習の必要な職業だと述べたことがある。 政治家は、その職業に携わるために、政治とは何かを学ばなくてはならない。いちばん根本に何を学ぶべきかと問われるなら、国家観と歴史観ということになるのではないか。 政治の究極的な目標は、個別の利害でなく全体としての国民生活の繁栄と安定を図ることであり、国家と国民の平和と安全を絶えず守る点にある。 現在から未来に連なる政治の時間の流れを読むには、きちんとした歴史観が縦軸として必要であり、自分の立ち位置を確定するには社会、国家、世界の位相を総合的に考えながら、絶えず国民の安全を図る国家観が横軸として必要となる。この座標軸がない政治家は、尖閣や竹島の問題を正しく理解できないばかりか、立ち向かう胆力さえもてない。 近刊の老川祥一著『政治家の胸中』(藤原書店)は、佐藤栄作首相以後の歴代総理を間近に観察した政治部記者による政治の裏面