中論(ちゅうろん)、正式名称『根本中頌』[注釈 1](こんぽんちゅうじゅ、梵: Mūlamadhyamaka-kārikā, ムーラマディヤマカ・カーリカー)は、初期大乗仏教の僧・龍樹(ナーガールジュナ)の著作である。インド中観派、中国三論宗、さらにチベット仏教の依用する重要な論書である。 本文は論書というよりは、その摘要を非常に簡潔にまとめた27章の偈頌からなる詩文形式であり、注釈なしでは容易に理解できない。注釈書・論書の例は#注釈書・論書を参照。 冒頭で提示される全体の要旨である「八不」(不生不滅・不常不断・不一不異・不来不去)を含む立言としての「帰敬序」と、27の章から成る。各章の構成は以下の通り[1]。 帰敬序 第1章「原因(縁)の考察」(全14詩) 「縁」(四縁)の非自立性を帰謬論証 第2章「運動(去来)の考察」(全25詩) 「去るはたらき」(去法)の非自立性を帰謬論証 第3章「