1. はじめに 2014年8月7日に京都地方裁判所が、ヤフー・ジャパンの検索サイトで自分の名前を検索語として検索をかけると逮捕事実が表示されるとして、名誉毀損及びプライバシー侵害に基づき損害賠償及び差止めを求めたところ、そのような請求は認められないとする判決を下した。原告はその主張の中で、2014年5月13日にEU司法裁判所が、スペインにおける個人のプライバシー侵害を理由とするグーグルの検索結果の削除を求める訴えに対して削除請求を認めるべきであるとした、いわゆる「忘れられる権利」判決(※1)に言及した。原告の請求は、検索結果の表示の差止め(削除)を含むという意味では、EU司法裁判所判決の審理対象となったスペイン裁判所係属事件の原告の請求と同様の趣旨であると思われ、その点を中心に、京都地裁判決を紹介することとしたい。 なお、EU司法裁判所判決については、「グーグルの検索サービスと忘れられる権