キリスト教においては、布教の過程に於いてその地域のその時代の社会観念を受け継いだことにより相対的に女性の地位が男性のそれに比べて低いとされる部分もあった。プロテスタントの生みの親ルターも「女児は男児より成長が早いが、それは有益な植物より雑草の方が成長が早いのと同じである」という言葉を残している。その一方でルターは、「女性たちは信仰においては男性よりもはるかに堅固で熱烈であり、男性よりもはるかに屈強にして頑強に信仰を重んじる」とも述べている[3]。 しかし、男性中心主義的なパウロ書簡に反し、同時期に成立した福音書においては、むしろ女性使徒が男性使徒より肯定的な評価を下されている[4]。『ルカによる福音書』に登場するベタニアのマリアは、従来の家庭的役割に従わないことをイエスによって称賛されており[5]、クーザの妻ヨハンナ(英語版)も、財産を持ったまま夫を捨ててイエスの信徒となっている[6]。