龍樹 龍樹は西暦150~250年頃の人で、ナーガールジュナ(Nagarjuna)といいます。デカン高原のクリシュナ川流域にナーガルジュナコンダ Nagarjunakonda(ナーガルジュナサーガル Nagarjuna Sagar)という地名があり、そこに有名な仏教遺跡がありますが、そこの出身ともいわれます。(筆者による旅行記あり) インドのバラモン(婆羅門)の学問をすべて習得したのち仏教に転向して、当時の上座部仏教と初期大乗仏教とを学んで大乗仏教に傾倒し、あまたの諸経典に通暁し、初期般若経典の空をもって大乗仏教の地位を確立した大論師です。 龍樹出現の意義 龍樹の功績はなんといっても、大乗仏教を体系づけ、理論武装して伝統的な部派仏教(小乗)に比肩するに値するものとならしめたことにあります。龍樹の出現がなければ、大乗仏教はただの異端な在俗信徒による俗信に留まっていたかもしれません。 龍樹の教学
仏教における空(くう、梵: śūnya [シューニャ]または梵: śūnyatā [シューニャター]、巴: suññatā [スンニャター][1])とは、一切法は因縁によって生じたものだから我体・本体・実体と称すべきものがなく空しい(むなしい)こと[2][注釈 1]。空は仏教全般に通じる基本的な教理である[2]。 原語はサンスクリットの形容詞 シューニャ(śūnya)、名詞形はシューニャター(Śūnyatā) で、後者は「空なること」を意味するため、しばしば空性と漢訳される[3][2]。śūnya は舜若(しゅんにゃ)と音写し、 śūnyatā は舜若多(しゅんにゃた)と音写する[2]。 シューニャ(サンスクリット語: शून्य, śūnya)は、śū (= śvA, śvi、成長・繁栄を意味する動詞)からつくられた śūna から発展し、「…を欠いていること」という意味である。また、「
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