裁判員裁判で、被告が犯人だと立証するために同じような前科を証拠にできるかどうかが争われた放火、窃盗事件の上告審判決が七日、最高裁第二小法廷(裁判長・竹崎博允(ひろのぶ)長官)であり、原則として許されないとの初判断を示した。放火罪の前科を証拠として取り調べなかった一審の裁判員裁判判決は違法だとした二審の東京高裁判決を破棄、審理を高裁に差し戻した。 判決は、四人の裁判官全員一致の意見。例外的に証拠にできる要件を「誤った事実認定に至る恐れがなく、その前科に起訴内容とかなり類似した明らかな特徴がある場合」と厳しく制限した。 前科の証拠は量刑の判断では考慮されるが、犯人かどうかの立証では「不当な偏見をもたらし、事実誤認を招く」として基本的に認めない考え方が主流だった。今回の最高裁判決は、市民が参加する裁判員裁判を踏まえ、この考え方をあらためて確認したといえる。