弱腰を見透かされ、公然と侮辱された不快感が募る。竹島に韓国大統領、魚釣島に香港の活動家が上陸した。この状況で日本の世論に「頭を冷やせ」と呼びかける説得はむなしい。頭を冷やしても片づかない課題が重い。敗戦67年。先人たちの奮闘努力の結果、世界最高水準の快適社会にたどりついたわれわれが、いつの間にか失ったものに気づかされる夏だ。 先週、街角のミニシアターで岩佐寿弥(ひさや)(77)の新作映画「オロ」を見て「ああ、これだ」と思った。列島挙げて隣国による領土侵犯に憤激のさなか、頭を冷やしても片づかない日本の課題とは何か。経済大国の忘れ物は何か。この映画が気負うことなく言い当てている。 オロは映画の主人公、チベット難民の少年の名だ。中国支配下のチベットで生まれ、6歳の時、決死の脱出行でヒマラヤを越えた。圧政を逃れ、チベット人としての教育を授けたいと親が送り出した。途中の町で同伴の大人に置き去りにされ
「週刊文春」6月21日号に興味深い記事が載っている。「小沢一郎/妻からの離縁状/便箋11枚、全文公開」である。編集部に聞いた逸話が面白い。 発売は14日。翌日夕方までに完売した(公表部数70万)。同誌としては、09年夏の「酒井法子逮捕」の内幕もの以来、3年ぶりの記録だそうだ。文春の公式ウェブサイトを見ると、17日夕方までに1・5万回以上ツイートされ、フェイスブック上では「いいね!」ボタンが4万回以上押されている。 それほどの反響があった記事なのに、いつもは食いつきのいいテレビの情報番組がウンともスンとも言わない。 じつは、文春編集部は、発売寸前、東京のほぼすべての民放テレビの取材に応じていた。ところが、オンエアされない。調べてみると、小沢系の国会議員からプレッシャーがかかったらしいことが分かった。「取り上げるなら、もうオタクの番組には出ませんよ」と。 政治家のテレビ出演が日常化した時代、週
そろそろ原発以外の話題をとり上げたらどうかと心配してくださる向きもあるが、そうもいかない。福島原発震災は収束どころか、拡大の兆しが見える。この大事と無関係に政局を展望することはできない。 京大原子炉実験所の小出裕章助教(61)といえば、いま最も注目されている反原発の論客の一人だ。原発が専門だが、名利を求めず、原発に警鐘を鳴らし続けてきた不屈の研究者として脚光を浴びている。 その小出が16日、テレビ朝日の番組に登場し、こう発言して反響がひろがった。 「東京電力の発表を見る限り、福島原発の原子炉は、ドロドロに溶けた核燃料が、圧力鍋のような容器の底を破ってコンクリートの土台にめり込み、地下へ沈みつつある。一刻も早く周辺の土中深く壁をめぐらせて地下ダムを築き、放射性物質に汚染された地下水の海洋流出を食い止めねばならない」 さっそく政府高官に聞いてみると、いかにも地下ダムの建設を準備中だという。 と
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