大陸法の国であるドイツや日本では、私法上の契約とは、相対立する意思表示の合致によって成立する法律行為をいう。一方、英米法の契約の概念については、大陸法における契約の概念と多少異なる特徴を有し、後述のように例えば英米契約法では約因(consideration)または捺印証書(deed)が契約の有効性の要件となっていることなどの特徴がある[3]。 人間は集団社会を形成する生き物であり、歴史の中で人間関係においては合意はもっとも尊重されなければならないとする契約遵守の原則が確立されてきた[4]。 例えば古くから商品取引は売買契約によって行われてきたが、近代社会では本来取引的でない活動も契約によって行われている[2]。契約の拘束力は前近代の社会から認められてきたが、それは身分的覊束関係と密接に結びついたものであった[4]。しかし、近代社会においては、人間は自由で平等な法的主体であり、その自由な意思