その一方で、海外では、円安が一種の近隣窮乏化政策ではないかという批判もある。円安になると、確かにアジア各国の輸出競争力が落ち込むが、同時に機械や部品を中心に日本からの輸入価格、ひいては生産コストが低下することも忘れてはならない。韓国をはじめ、日本と競合関係にある国では、輸入面のプラスの影響よりも輸出面のマイナスの影響が大きいのに対して、中国など、日本と補完関係にある国では逆であると見られる。 円安になると、日本の輸出価格がドルベース、ひいてはアジア各国通貨ベースで低下する。このことは、アジア各国にとって、需要面では日本製品に対して競争力が悪化する一方で、供給面では日本からの輸入価格が低下することを意味する。 需要面における円安の影響を考える際に、日本向けの輸出縮小よりも、第三国市場におけるシェアが日本に奪われることが重要であろう。こうした競争力の悪化が強く表れる国としては、日本と同じハイテ