日本古代の歌垣関連記事から旧来の歌垣論の再検討、どのように進化してきたかなど幅広く「歌垣」を掘り下げた一冊。 附録として、1995年に著者が直接現地(中国雲南省ぺー族集落)に赴き、約1時間20分にわたる自然な歌垣の映像・音声を収録したDVDを附す。 はじめに 序章 歌垣像への道 歌垣はなぜ消えたのか 歌垣を必要としない結婚制度の普及が歌垣を衰えさせたか 歌垣は〈古代の古代〉以来の風習 第一章 日本古代の歌垣関係記事 A(『常陸国風土記』筑波郡) 百数十キロメートルの遠隔地からも参集した 歌の数は膨大だったろう 大規模な歌垣は場所と日時が決まっていた 配偶者を得たいという切実な思い 歌会の場で即興的に歌われた歌ではない B「筑波嶺に登りて嬥歌会をせし日に作れる歌一首并せて短歌」(「高橋連虫麻呂歌集」 『万葉集』巻9・1759・1760) 「嬥歌」は侮蔑感のある漢語 少数民族国家知識人の複雑