尖閣諸島(沖縄県石垣市)に活動家たちの不法上陸を許した背景には、「けが人が出るような強硬な手段を用いない」とする政府の対応方針があるとされる。だが、専門家からは「あえて上陸させることで違法行為を明確化させたのでは」との指摘もある。 「上陸させたことで中国がつけ込む隙を与えずに済む」。こう話すのは国境問題に詳しい東海大の山田吉彦教授(海洋政策)だ。魚釣島では海上保安官のほか警察官や入管職員ら計約30人が活動家らを待ち受けた。入管難民法では領海を侵犯した時点で不法入国に問えるが「その時点では上陸の意思が本当にあるのか立証が難しい」(山田教授)側面があったという。 平成16年3月にも魚釣島に上陸した中国人7人が同法違反で現行犯逮捕されているが、小泉純一郎首相(当時)の政治判断で刑事手続きを断念した経緯がある。山田教授は「今度こそ正式な刑事手続きを取ることができる」と期待する。