薄氷を踏む思いというのは、欧州経済のようなものを言うんだろうね。どこかの金融機関の破綻から、いつ金融不安が起こっても不思議でない状態だ。それが些細な政治的躊躇から勃発することは、1997年の日本や2008年の米国の例でも明らかである。これを免れたとしても、金融収縮と緊縮財政によって、成長が減速することは避けられまい。 問題は、欧州の市場に頼っている国々である。中国は、輸出の減速がはっきり出ており、来年にかけて、成長率の8%割れさえ予想されている。とは言え、新興国の経済は「若く」、大きく落ち込むことはあるまいというのが、一般的な見立てである。今日の日経の「核心」で、クルーグマンの言を引く形で、土谷さんも、そう述べている。 果たして、そうなのか。日本経済が若かった高度成長期には、金融政策は、よく効くと言われた。金融を緩和さえすれば、設備投資が戻り、成長は再開するものだと。しかし、例外もあった。