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ブックマーク / blog.goo.ne.jp/keisai-dousureba (78)

  • 1-3月期GDP2次・ネガティブな上方修正 - 経済を良くするって、どうすれば

    6月半ばともなると、2次速報で1-3月期GDPの結果を聞かされても、過去のものの感はある。この間に、コロナ感染の収束、ウクライナ戦争の長期化、急速に進んだ円安と、大きな環境の変化があっただけに、なおさらだ。上方修正ではあるが、内容が悪く、設備投資は前期比でマイナスへと符号が変わり、押し上げは在庫が大幅に積み上がったことが理由だ。過去ではあるが、今後に尾を引きそうである。 ……… 設備投資は、実質で前期比-0.7%と下方修正となり、水準は1年前に逆戻りだ。遡れば、8年前の2014年1-3月期と同レベルと思うと、寂しい限りである。輸出は105兆円を回復して、最高水準にあるから、設備投資がもう少し高くても良さそうなのだが、輸出や消費の動きと逆行して減った。機械設備等は寄与度0.0だが、輸送用機械が-0.1になっていて、企業の建設投資もマイナスだったようだ。 今後については、鉱工業生産の予測が異様

    1-3月期GDP2次・ネガティブな上方修正 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 緊縮速報・破綻懸念をよそに財政は急速に回復 - 経済を良くするって、どうすれば

    12/20に公表された7-9月期資金循環では、一般政府の資金過不足が季節調整値で-5.4兆円まで縮まり、一気に前期から6.1兆円改善した。水準は2014年頃と変わらないレベルである。むろん、同日に成立した補正予算の執行によって、再び不足幅が拡がるとしても一過性で、コロナ前のGDP比-2%程度を超える健全財政へ向かう。財務次官の破綻懸念どころか、先々の急速な緊縮による成長の委縮が心配されるところだ。 ……… 誰かの借金は誰かの貯蓄であるから、7-9月期は、政府の借金が減った分、家計と企業の貯蓄も減って、コロナ禍前に近いレベルに戻ってきた。海外は借金が幾分少なくなっている。リーマンショックの際は、政府の高水準の「赤字」が長く続いたが、今回は、谷が深かったものの、戻りは早い。それとは裏腹の関係となる企業の過剰についても、異様さが尾を引いた前回とは違い、短く済みつつある。 財政収支が改善した背景に

    緊縮速報・破綻懸念をよそに財政は急速に回復 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 金融政策はなぜ効かないのか - 経済を良くするって、どうすれば

    2021年度は、1500億円しか社会保障費を増やしていないのに、税収が前年度決算から3.8兆円も伸びる。一時的なコロナ対策から抜ければ、それだけ財政再建が進捗することになる。2022年度も、社会保障費の自然増は6600億円のところ、税の増収は3.2兆円にもなるはずだ。こうしたデフレを促進する緊縮財政を併用していては、弱い力しかない金融政策が効奏するはずもない。21世紀の経済政策は、全体を見なければならない。 ……… 経済学の2柱は、需要と供給を調節する価格メカニズムと、貯蓄と投資を調節する金利メカニズムなのだが、遺憾なく力量を発揮する前者と違い、後者は存在を疑うほど脆弱だ。なぜなら、設備投資は、需要リスクという別の力に支配されているからである。常識的にも、企業は需要を見ながら投資を決めているし、消費者も金利を見ながら消費と貯蓄の割合を決めたりしない。柱なのに、現実味の乏しい「理屈」なのだ

    金融政策はなぜ効かないのか - 経済を良くするって、どうすれば
    nagaichi
    nagaichi 2021/07/12
    日本は分配(再分配)がおかしいから、金融政策の効果も限定的で市場過熱だけで終わってるんだよ。文教科研費の割合がOECD最低水準で、若者や科学への投資が圧倒的に足りない。
  • 日本のセーフティネット格差の未来 - 経済を良くするって、どうすれば

    「雇用が不安定な者ほどセーフティーネットも脆弱」を指摘するのが酒井正先生の『日のセーフティネット格差』である。この問題を扱ったが日経・経済図書文化賞に選ばれたことは、長年、それを解決すべく具体策を提案してきたコラムとしても、大変、喜ばしく思う。酒井先生が言われるように、「非正規への適用拡大は、ファーストステップではあっても、セーフティーネットを充実させるとは限らない」というのも正に然りである。しかし、それすらも遅々としているというのが辛い現実だ。 ……… 社会保険は、保険料と給付が対になっているので、納付の期間と総額が限られる非正規の給付が乏しいものになるのは、仕方のない面がある。したがって、この関係を無くせないにせよ、どれだけ緩められるかが、目指すべき未来の「第二のセーフティネット」の形ということになる。具体的には、保険料をどれくらい、どのような形で公的に補助するのが良いかが焦点と

    日本のセーフティネット格差の未来 - 経済を良くするって、どうすれば
  • 対策も虚しく消費増税で1.8%の減少 - 経済を良くするって、どうすれば

    週末に1月のCTIマクロが公表され、実質で前月比+0.7であった。6~8月と11~1月の平均の差は-1.8であり、ちょうど、2%消費増税から料品の軽減税率を抜いたくらいだ。あれこれ対策もしたけれど、国民は、増税されれば消費を減らすという、ある意味、常識的な行動を取ったことになる。問題は、どうして、消費を減らす政策をしているかだ。増税したら消費は減るという「峻厳なリアリズム」が欠けているのである。 ……… 1月のCTIマクロの実質は、前期比も+0.7だった。この動きからすると、GDPに近い消費総合指数は、反動減が小さく出ているので、1月の前期比は、ほぼゼロくらいだろう。駆け込みの反動減で10-12月期が急減したにもかかわらず、1-3月期もゼロ成長というのは、非常に沈滞した状況だ。この1月の水準が増税後の消費のベースになり、これを更にコロナ・ショックが下押しすることになる。 消費の減少ぶりは

    対策も虚しく消費増税で1.8%の減少 - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・コロナ前の惨状 - 経済を良くするって、どうすれば

    金曜に1月の経済指標の第一陣が公表された。新型肺炎の影響が格化する前にもかかわらず、消費増税による損傷によって、相当に厳しい結果である。つくづく、「嵐の前に雨戸を開け放つ」のが、この国は得意なのだと思う。戦力を考えない「先手の財政再建」は、対策の「総動員」に糊塗されて、大失敗になろうとしている。すべてはコロナウイルスのせいで済まされるだろうが、「先手」だの、「総動員」だのが叫ばれるようになったら、質を見失っていると疑うべきである。 ……… 1月の鉱工業指数の出荷は、前月比-0.2にとどまり、水準は10-12月期の平均を下回った。7-9月期の前期比が-0.0で駆け込みが見られず、10-12月期の前期比が-5.1もの崩壊だったのに、1月が更にその下という惨状である。消費財は、1月の前期比が+1.1でも、7-9月期が-0.7、10-12月期が-5.9だったから、酷さは変わらない。また、設備投

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  • 緊縮速報・増税で却って財政再建に遅れ - 経済を良くするって、どうすれば

    では、消費増税が目的化しているので、経済成長どころか、財政再建すら犠牲にして推し進められる。増税後、景気対策の支出が剥落した段階の2021年度の基礎的財政収支のGDP比は-2.0%と、増税前の2018年度の-1.9%より、わずかながら悪化する。これでは、何のための消費増税なのかと、脱力してしまう。増税で成長を低下させ、他の税収が減るのを、消費増税で補う形なのだ。財政収支が改善しないなら、純増税なぞ試みない方がマシではないか。消費増税そのものにサディスティックな喜びを感じるというのでないならね。 ……… 1/17に「中長期の経済財政に関する試算」が公表された。世間的には、2025年度に財政再建の目標を達成できるかばかりが注目されているようだが、経済的には、財政収支は、ゆっくりでも改善していれば、リスク管理には十分である。実際、基礎的財政収支のGDP比は、2015年度に-2.9%だったもの

    緊縮速報・増税で却って財政再建に遅れ - 経済を良くするって、どうすれば
  • アベノミクス・消費を死なせ、地球に貢献 - 経済を良くするって、どうすれば

    景気が減速しているにもかかわらず、消費増税を強行したために、経済は、もう滅茶苦茶である。鉱工業指数が前回増税を上回る大打撃となり、商業動態・小売業が東日大震災以来の最低水準に沈んだ。2014年当時は、輸出が増えていたから、緩やかながらも、景気は回復して行ったが、今回は、輸出が低迷中であるために、底をはう状態が長く続くだろう。消費がよみがえるのは何年先か分からず、ことによると、もうないのかもしれない。つまり、消費は既に「死んでいる」のである。 ……… 11月の鉱工業生産の前月比は、「消費増税の反動減と台風被害が重なった」とされた10月の-4.6から、更に下げて-0.9となった。天気のせいではなかったようである。前回増税の2014年4-6月期の前期比は-3.0だったが、今回の10-12月期は、10,11月実績と12月の経産省予測の+0.4から、前期比-4.3になりそうで、前回を上回る大打撃と

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  • 7-9月期GDP2次・虚しき上方修正 - 経済を良くするって、どうすれば

    2次速報によって、7-9月期の成長率は、実質年率1.8%に上方修正されたが、家計消費と設備投資の駆け込み需要に支えられたもので、実態はゼロ成長以下である。これに消費増税が加わる10-12月期は、消費の駆け込みの反動減を考慮しても、マイナス成長に陥ってしまう。景気の実態は、消費増税に攪乱されて見えにくくなっているが、深刻さを増しており、消費税の大打撃からの戻りがほとんどないL字型の様相が濃くなっている。 ……… 7-9月期2次速報では、各需要項目が軒並み上方修正された。最も大きいのは、設備投資が前期比+0.87から+1.78になったことである。しかし、ほとんどが駆け込み需要によるものと考えられる。なぜなら、設備投資は、追加的な3需要、すなわち、輸出、住宅、公共を足し合わせたものとパラレルに動くのが普通なのにもかかわらず、これとは大きくい違っての上昇になっているからである。 案の定、12/1

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  • 世界を歪めたのは経済学なのか - 経済を良くするって、どうすれば

    森田長太郎さんの『経済学はどのように世界を歪めたか』は、なかなか刺激的で、おもしろく読ませてもらった。主流派経済学数学偏重の背景や、金融市場を経て金融政策へと影響を及ぼしていく流れは、とても興味深い。そして、日では、「リフレ」論によって日銀が攻撃の対象となり、政治的に押し切る形で「アベノミクス」という実験が繰り広げられることになる。市場と実務に精通する森田さんが、抽象的理論がそのまま政策になって猛威を振るう違和感を論証した一冊である。 ……… 日における「リフレ」論の功罪は、これから評価されることになろうが、筆者はオールド・ケインジアンなので、最初から、「ヒモで押す」金融緩和は上手く行かないだろうと思っていた。ただし、経験的には、金融緩和が自国通貨安を呼び、輸出を促進して景気を回復させる経路はあるので、そこにだけ注目していた。結局、アベノミクスという実験の成否は、輸出がどのくらいにな

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  • MMTの語らないこと、聞くべきこと - 経済を良くするって、どうすれば

    L・ランダル・レイ教授の『MMT 現代貨幣理論入門』を読ませてもらったが、肝心なことを語っていないように思うね。MMTは、煎じ詰めれば、「財源には制約がないのだから、失業がある限り財政を使うべし」という考え方になる。肝心なのは、その失業が、なぜ、生じるかである。このメカニズムを明らかにしないから、主流派経済学との議論は、かみ合わないものになっている。 ……… 主流派経済学では、失業は存在し得ないものだ。在るにしても短期的である。なぜなら、合理的な経済人は、利益を最大化するよう行動するため、失業者が資と組み合わされないまま、ムダに放置されたりしないからだ。したがって、金融を緩和し、資調達のコストを低くすれば、いずれ解消されるはずとなる。財政政策は、タダで使えるものだとしても、そもそも無用だし、弊害だってあるだろうとなるのである。 MMTが狡猾なのは、財政政策の制約はインフレのみであるとし

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  • アベノミクス・景気後退期にある可能性 - 経済を良くするって、どうすれば

    災害のあった前期の反動増で高めに出るはずだった10-12月期GDPは、落ち込みを埋めることもできそうにない厳しい状況にある。そうすると、次の1-3月期次第では、景気のピークは前々期の4-6月期だったことになってしまい、今は、既に景気後退期にあるという位置づけとなる。1-3月期の成長が年率1.6%を超えて来れば、景気拡大は続いていることになるにせよ、簡単ではない。そして、景気維持の最後の砦は、消費になるが、10月には増税で着実に潰す予定だ。この国は、一体、何を目指しているのだろう。 ……… 12月の鉱工業指数は、出荷が前月比+0.3となり、10-12月期の前期比は+1.9と、わずかながら、前期の減を埋め切れなかった。図でも分かるように、昨年春頃のピークを超えられずにいる。今後についても、生産予測を見る限り、良くて横バイで、低下する可能性が高い。特に痛いのは、設備投資の動向を示す資財(除く輸

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  • 少子化とは経済の問題、意識のせいでなく - 経済を良くするって、どうすれば

    少子化は意識や文化の問題」とする人がいるのだが、ありていに言えば、カネの問題だ。経済より、意識や文化はゆっくり変化するものなので、意識や文化の遅れが原因に見えてしまう。原因は、経済に発する。意識や文化を経済に適応させるのも大切だが、それに力を入れていると、根にある経済の解決に行き着かなくなってしまう。世の中、カネで解決のつくことは多い。少なくとも、意識や文化を変えるよりは容易だ。まあ、こんな露悪的なことを言うから、嫌われるのだが。 ……… 前田正子先生の新著『無子高齢化』は、少子化の原因に若者の困窮があることを強く指摘していて、共感できる内容だった。むろん、少子化には複合的な要因があるのだが、政策的に解決すべき対象を特定することは、極めて重要だ。「それは十分条件でない」と批判するより、主な必要条件を順につぶしていくべきだ。学術的な真実の追求とは異なり、極端に言えば、若者の困窮にテコ入れ

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  • アベノミクス・とうとう表れた基調の衰え - 経済を良くするって、どうすれば

    今週、公表された10月の経済指標は、軒並み強いものだった。この勢いなら、10-12月期のGDPは、3%近い高成長が期待される。ただし、災害続きでマイナス成長だった7-9月期の反動増が大きく、むしろ、基調は衰えを見せる。昨年までの輸出の好調さに慢心し、緊縮型予算で臨んだところ、今年に入って輸出が失速し、緊縮に足を取られた形だ。せっかく、設備投資が動き始めたのに、景気は勢いに乗れずにいる。この分では、次の1-3月期は、再び落ち込むジグザグコースをたどりそうだ。 ……… 10月は、日銀・実質輸出が前月比+6.6と伸び、7-9月期より+3.0高い水準だった。鉱工業生産も前月比+3.0と、7-9月期比+2.8であるだけでなく、11,12月の生産予測を単純に延長すると+4.0にまでなる。しかし、これらには、7-9月期の実質輸出が前期比-2.1だったり、鉱工業生産が-1.5だったりした反動増が含まれる。

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  • 貧困層の輸入が日本の国是なのか - 経済を良くするって、どうすれば

    「外国人労働者も平等に扱う」としつつ、「日人の雇用には悪影響を与えない」とも主張されているのだが、この二つは質的に矛盾する。日人を擁護するには、外国人を犠牲にせざるを得ないからだ。それなのに、都合良く、できるかのようにしてしまう。こうして左右の反対論が幻惑される中で、目の前の利権は、しっかりと獲得されて行く。矛盾が露呈し、「負債」が回って来るのは、不況になったときで、あとは野となれ山となれだ。 ……… 外国人労働者の受入れについては、中堅層以上は既に「開国」しているので、決断が求められているのは、貧困層を輸入するか否かであり、「人の自由化」なんて美しいものではない。日は、貧困層には、福祉より仕事を与えることで安定化を図り、周辺国の貧困削減には、投資と援助による経済開発で対応した。ある程度、これが成功したから、強い流入圧力にさらされずに済み、今の社会がある。その意味で、「国是」の転換

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  • アベノミクス・移民とは貧困層の輸入 - 経済を良くするって、どうすれば

    今週、相次いで出された経済指標からすると、7-9月期GDPは実質で年率-0.8%程度のマイナス成長になりそうだ。停滞する消費を始め、内需はいずれも弱いが、最も足を引っ張るのが公共投資になりそうなのは苦笑させられる。他方、税収は過去最高を望めるハイペースで、急速な財政再建が進む。今期マイナスになる外需は、中国の様子からすると要警戒である。こうした中、消費増税と移民受入れを打ち出すのは、どういう思想なのだろう。 ……… 7-9月期の消費は、商業動態の小売業が前期比+1.0と名目では健闘したが、消費者物価指数の財が、料とエネルギーの上昇により、前期比+1.3と、これを上回っているため、日銀・消費活動指数の動きからすると、実質では、若干のマイナスにとどまることになりそうだ。名目での健闘ぶりから分かるように、消費の下地は悪くなく、物価上昇が一巡した後の浮上に期待したいところだ。 次に、設備投資につ

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  • ちょっと気になる右左の経済学と社会保障 - 経済を良くするって、どうすれば

    いつもながら、権丈善一教授の新著『ちょっと気になる政策思想』は、おもしろかったね。供給に着目する右側の経済学、需要に焦点を当てる左側の経済学、どちらを選ぶかかで、必然的に社会保障の見方は決まってしまう。むろん、右なら生産力を増強する障害になり、左なら成長を引き出すために不可欠となる。もし、それほど思想の上で重要なら、左右の「正しさ」のほどを知りたくなるのが人情だろう。今回は、ここに焦点を当てて考えてみたい。 ……… 「成熟した経済では需要が不足するのであり、社会保障による再分配を通じて消費を補うことは、健全な成長に貢献する」という見方は、極めて良識的だ。正否を離れて、より良い安定的な世の中に資する。政策としては、これをベースに、設備投資が阻害されぬようマクロ管理を行うのが無理のないやり方だ。これが逆だと、政治的軋轢が生じやすく、経済運営の舵取りも厄介なものになる。 とは言え、この手の議論の

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  • 4-6月期GDP1次・景気は転換点を迎えた - 経済を良くするって、どうすれば

    「後で思えば、あの時が転機だった」というのは、誰でも言える。その最中に認識するのは極めて難しいし、当に転機に至っていたのに、次の展開で完結せずに終わることもある。それでも、ブログは自由なので、ここは「景気は自律成長への転換点を迎えた」としておこう。外れたにせよ、極めて難しい診断だけに、臆せず明らかにしておく価値はあると思うのだよ。絶好のチャンスを目の前に、この国は何をしていたかを、後に考えるためにもね。 ……… 景気の原動力は設備投資であり、設備投資は、金利や税制、まして産業政策ではなく、需要に従ってなされる。諸々のインセンティブより需要リスクが遥かに支配的だからだ。そして、景気回復の初期は、輸出・住宅・財政の追加的需要に従い、この段階が成熟すると、設備投資自身の需要や、設備投資が生み出す所得と消費の需要に反応して、自律的に設備投資が伸びるようになる。今は、その転換点を迎えたと見る。 4

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  • ケインジアンが読む「そろそろ左派は経済を語ろう」 - 経済を良くするって、どうすれば

    マルキストの経済書を手にするなんて、滅多になくてね。でも、ブレイディ・みかこさんの気風の良さが好きで『そろそろ左派は<経済>を語ろう』を読んでしまったよ。筆者も齢で、まさにオールド・ケインジアンだから、資主義の擁護者になるわけだが、世の中がどんどん右へ行ってしまい、昔は保守流のど真ん中にいたのに、いつしか左に位置するようになった。国民のための経済を語らなくなったのは、右派も同じだと思うな。 ……… 筆者の信条は「経済成長を実現し、福祉国家を建設する」である。これは、高度成長期には、自民党の党是だった。今の世の中は、「経済成長はムリだから、福祉国家を抑制する」になり、果ては、「経済成長のため、福祉国家を圧縮する」なんて倒錯した主張まである。筆者は、経済成長も、少子化克服も政策次第と考えるから、敗北主義にしか思えない。若い人たちが将来を悟って達観するなんて、おかしくないか。 ポイントは、ど

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  • 緊縮20年が作った新・日本の階級社会 - 経済を良くするって、どうすれば

    1997年の大規模な緊縮財政で、日はデフレに転落し、景気が上向くと緊縮で芽を摘む繰り返しで20年が経過した。就職氷河期となり、ワーキンクプアのまま取り残され、結婚ができなかったり、子供の貧困を起こしたりして、アンダークラスは再生産されるように至り、格差社会は、階級社会へと固着する。かつての成長最優先の所得倍増路線が平等化を進めたのに対し、今の財政再建至上の緊縮が階級を形成した。実はシンプルな話でしかない。 ……… 橋健二先生の『新・日の階級社会』は、アンダークラスという名の非正規にしか就けない新たな最下層階級が日に形成された実態を記すものだ。アンダークラスは、929万人で就業人口の15%ほど、平均個人年収は186万円と極端に低く、貧困率は38.7%、女性では48.5%にも上る。男性の有配偶者はわずか25.7%、女性の離死別者は50歳代には80.0%にもなる。むろん、生活や仕事への満

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