ウクライナ軍でロシア兵の遺体回収を専門に行う特別部隊に所属するアントン大尉に米紙が密着した。これまでに回収した遺体は250体以上、よく遺体に話しかけるという彼はどんな思いで敵兵の亡骸(なきがら)に向き合っているのか──。 爆発物が仕掛けられていることも アントン大尉のところには、ロシア人の遺体を見つけた人たちからひっきりなしに電話がかかってくる。遺体がある場所の座標情報がメールで送られてくることもあるし、現場まで誰かが案内してくれる場合もある。 たったひとりで250体以上の敵兵の遺体を回収してきたアントンは、ウクライナ北東部のハリコフ地方でちょっとした有名人だ。遺体探しに時間や労力を費やさずとも、人づてで仕事が入るようになった。 9月下旬には、ハリコフ近郊のツィルクニという村で、兵士らの乗った車の後について未舗装の道路を走った。畑の端には、軍服のまま腐敗した遺体があった。