<滝野隆浩の掃苔記(そうたいき)> 1カ月前にみた映画が気になっている。早川千絵監督の「PLAN75」だ。人生最終盤のことをテーマにしたコラムを書いているのだから見たほうがいいと、友人たちや読者からも言われて見に行った。確かにいい映画だった。そして、ずっと考え続けている。 少子高齢単身化の進む近未来の日本が舞台。「プラン75」という制度ができて、75歳以上の人は自ら「最期」を選ぶ権利が認められる。要は安楽死ができるようになった社会の話だ。決めるのは本人で、行政は強制しない。「いつでも中止できます」と係員は念を押す。そんなマニュアルがあるのだろう。支度金も渡される。そのカネでプラン申請者は、たとえば最後に上等のすしを食べる。 「ソイレント・グリーン」(1973年)という米SF映画を思い出した。人口爆発で食糧難になった社会で、死を決意させられた高齢者がタイトル名の食品にされる。死ぬ直前、ベッド