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ブックマーク / realsound.jp (14)

  • 歴史の醜い真実を描くサスペンス 『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』に詰まった“信念”を読み解く

    全体主義がもたらす恐怖社会を風刺的に描いた小説『1984』(1949年発表)は、世界中の強権的な政治体制や、現代の日の状況にも通じるところが多いと、あらためて見直されている作品だ。その作者のもう一つの代表作といえば、腐敗政治によって弱い者たちが犠牲になる社会を投影し、イギリスで長編アニメ化もされた『動物農場』(1945年)が挙げられる。そのモデルとなったのが、当時のソビエト連邦の政治体制だった。 映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』は、実在のジャーナリストが暴いたソ連の暗部を振り返り、いまふたたび、歴史的事実にスポットライトを当てていく作品だ。その真相には、『動物農場』で描かれた以上の悪夢的な悲劇が存在していた。そして、この事件こそが『動物農場』執筆の契機になったということが、劇中でも示される。 ここでは、そんな歴史の醜い真実を描こうとする強い信念が詰まった作の内容を、じっくりと紐

    歴史の醜い真実を描くサスペンス 『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』に詰まった“信念”を読み解く
    nakag0711
    nakag0711 2020/08/26
  • 浅田次郎が語る、物語作家としての主義 「天然の美しさを無視して小説は成立しない」

    万延元年(1860年)、姦通の罪を犯したという旗・青山玄蕃に対して、奉行所は青山家の所領安堵と引き替えに切腹を言い渡すが、玄蕃は「痛えからいやだ」とこれを拒否。蝦夷松前藩への流罪判決が下り、押送人に選ばれた十九歳の見習与力・石川乙次郎とともに、奥州街道を北へ北へと歩んでゆくーー。 浅田次郎が読売新聞朝刊にて連載した時代小説『流人道中記』が、3月9日に書籍化された。口も態度も悪いろくでなしだが、時折、武士の鑑というべき所作を見せる玄蕃と、その所作に戸惑いながらも魅せられていく石川乙次郎の道中を描いた同作に、浅田次郎はどんな心情を込めたのか。作家として円熟の時を迎える浅田次郎に、少年時代の読書体験から自身の芸術論に到るまで、大いに語ってもらった。(編集部)【インタビュー最後にサイン入り書籍プレゼント企画あり】 天性の嘘つき少年でした(笑) ーー子供のころからがお好きだったのですか? 浅田:

    浅田次郎が語る、物語作家としての主義 「天然の美しさを無視して小説は成立しない」
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    nakag0711 2020/04/03
  • 細田守と新海誠は、“国民的作家”として対照的な方向へ 2010年代のアニメ映画を振り返る評論家座談会【前編】

    細田守と新海誠は、“国民的作家”として対照的な方向へ 2010年代のアニメ映画を振り返る評論家座談会【前編】 年が明け2020年に突入。同時に2010年代という時代も終わりを迎えた。リアルサウンド映画部では、この10年間のアニメーション映画を振り返るために、レギュラー執筆陣より、アニメ評論家の藤津亮太氏、映画ライターの杉穂高氏、批評家・跡見学園女子大学文学部専任講師の渡邉大輔氏を迎えて、座談会を開催。 前編では、細田守や新海誠など、今や国民的作家となったアニメーション監督に注目。なお、後日公開予定の後編では、「ポスト宮崎駿」をめぐる議論の変容や女性作家の躍進、SNSとアニメーションの関係性について語り合っている。(編集部) 最初の地殻変動は2012年 ーー2014年に『アナと雪の女王』と2016年に『君の名は。』と、2010年代に入ってから、興行収入が200億を超える作品が出てくるように

    細田守と新海誠は、“国民的作家”として対照的な方向へ 2010年代のアニメ映画を振り返る評論家座談会【前編】
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    nakag0711 2020/01/13
  • なぜ会話劇ドラマに魅せられる? 『俺の話は長い』『G線上のあなたと私』『ブラック校則』をもとに考える

    秋ドラマが佳境に入っているが、視聴者から熱い支持を集めている3つのドラマがある。それが『俺の話は長い』(日テレビ系)、『G線上のあなたと私』(TBS系)、『ブラック校則』(日テレビ系)だ(『ブラック校則』は11月26日放送分で終了)。いずれも大ヒットとは言えないかもしれないが、視聴率がそれぞれ尻上がりに上昇しているということは、熱心なファンがついている証拠である。 3作品をカテゴライズするならば、「ホームドラマ」、「恋愛ドラマ」、「学園ドラマ」とそれぞれまったく別のジャンルになるが、ひとつ大きな共通点がある。それは3作品とも「会話劇ドラマ」だということだ。ひらたく言えば、どれも大きな事件などは起こらず、登場人物たちの「おしゃべり」をもとにストーリーが進んでいく。 ホームドラマの『俺の話は長い』は、30歳過ぎなのにニートで屁理屈ばかり言う満(生田斗真)と強気なキャリアウーマンの実姉・綾子

    なぜ会話劇ドラマに魅せられる? 『俺の話は長い』『G線上のあなたと私』『ブラック校則』をもとに考える
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    nakag0711 2019/12/06
  • ナポリの男たち『RimWorld』動画はなぜ“ゲーム実況の金字塔”なのか? 最終回に寄せて魅力を解説

    4人組の人気ゲーム実況グループ「ナポリの男たち」が7月3日、ニコニコ動画上で『【実況】ナポリの遭難者たち 最終回・前編【RimWorld】』と題した動画を公開した。今年1月にシリーズ1作目が公開され、現在は70万再生を突破。ファンから「いきがい」と言われる一連の動画が、終わりを迎えつつある。「ナポリの男たち」のことをまったく知らない人が、初見でも楽しめるかどうかは、動画をよく見てきた筆者には判断がつきづらいところだが、「ゲーム実況」という分野で、ひとつの到達点とも言えそうな面白さのため、簡単ながらその魅力を紹介したい。 そもそも「ナポリの男たちは」とはどんなグループか、ということについては、当サイト記事「米津玄師、岡崎体育もハマるゲーム実況者『ナポリの男たち』って何者?」(https://realsound.jp/tech/2018/05/post-190366.html)に詳しい。タイト

    ナポリの男たち『RimWorld』動画はなぜ“ゲーム実況の金字塔”なのか? 最終回に寄せて魅力を解説
    nakag0711
    nakag0711 2019/07/12
  • 『美女と野獣』100億突破へ! 一般の観客が求めているのは、実は壮大なネタバレ作品?

    今年4月21日に公開されたディズニーの『美女と野獣』が今週のウィークデイにも興収100億円を突破する見込みだ。先週末(5月28日)までの累計動員は692万8000人、累計興収は96億7700万円で、公開初週から6週連続で1位を独走している。ちなみに累計255億という大記録を打ち立てた『アナと雪の女王』の同期間(公開6週目の週末時点)での興収は107億3000万と、意外にも10億程度の差しかついていないことがわかる。だからといって『美女と野獣』も200億オーバーする可能性があるかというと、そう簡単な話ではないことは以前にもコラム(参考:『美女と野獣』の前に立ちはだかる『アナ雪』の高い壁)でも記した通りだが、今後よほどの「事件」(昨年の『君の名は。』のような)がない限り、年度の興収ナンバー1作品は『美女と野獣』ということになるだろう。 2014年の『アナと雪の女王』、2016年の『君の名は

    『美女と野獣』100億突破へ! 一般の観客が求めているのは、実は壮大なネタバレ作品?
    nakag0711
    nakag0711 2017/06/03
    デートムービーの需要というものは無視できないということだろう
  • 『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』ーー 最新アニメ映画の音楽、その傾向と問題点について

    実写映画の批評には実写映画の批評の方法があり、アニメ映画の批評にはアニメ映画の批評の方法がある。別に、どっちもやるのがいけないなんてことはないけれど、実写映画歴史やその批評体系を意識的にとらえてきた一人としては、アニメ映画の批評には迂闊に手を出そうとは思えない。そりゃあ、物語や状況を論じることはできるけど、それは厳密に言えば映画の批評ではないので。しかし、「映画音楽」に関してそれなりに一家言ある立場から、今年の夏以降に立て続けに公開された/されるいくつかの日のアニメ映画の「音楽の使い方」について、いろいろと思うところがたまってきてしまった。というわけで、ここでは「アニメ映画音楽」に焦点を絞って論考をすすめていきたい。 まず、なにはともあれ『君の名は。』である。夏前に試写で観たタイミングですっかり心を奪われ、大ヒット作になることも確信したが(もちろん、興収100億を超える国民的映画

    『君の名は。』『聲の形』『この世界の片隅に』ーー 最新アニメ映画の音楽、その傾向と問題点について
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    nakag0711 2016/09/28
  • 宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性

    「行政官僚制の日常」と「破壊の享楽」 『シン・ゴジラ』(7月29日公開/庵野秀明監督)は想像外に興味深い映画でした。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(2012年)以降の庵野秀明監督の不発ぶりに加え、特撮監督が『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』(2015年)で味噌をつけた樋口真嗣氏なのもあって、期待水準を高く設定していなかったこともあるかもしれませんが、間違いなくエキサイティングでした。 作は従来のシリーズと違って、ゴジラに主題的な重心がなく、かと言ってヒーローに焦点が当たる訳でもない。敢えて言えば「日の行政官僚制」が主人公で、そのパフォーマンスに焦点が当たります。その話は後で題にするとして、僕がこの作品を見る前に、どこに注目しようと思っていたのかについて話しましょう。キーワードは「破壊の享楽」になります。 この夏休み、僕の3人の子供たちは、AppleTVで利用できる定額制

    宮台真司の『シン・ゴジラ』評:同映画に勇気づけられる左右の愚昧さと、「破壊の享楽」の不完全性
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    nakag0711 2016/08/30
  • 初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明

    公開3週目を迎えても『シン・ゴジラ』の勢いは依然、衰えを見せない。IMAX、MX4D、通常上映と、毎回環境を変えて観ていたが、この原稿を理由にまた劇場に足を向けてしまった。高圧縮の情報量、現実の反映、オマージュ、トリヴィア、語られないまま終わった謎への解釈など、まるで20年前の『新世紀エヴァンゲリオン』テレビシリーズ放送終了後から翌年の劇場版公開にかけての熱狂が再現されているようだ−−と言っては言いすぎだろうか。いずれにせよ、繰り返し観ることで細部を語る魅力が増す作品であることは間違いあるまい。 マイナスをプラスにさせる庵野秀明のアレンジ ここでは、〈庵野秀明にとってのゴジラ〉から話を始めてみたい。というのも、特撮好きなエヴァの監督というイメージから誤解されがちだが、これまで庵野はウルトラマンほどの熱狂をゴジラには見せていなかったからだ。『シン・ゴジラ』の原点となる第1作の『ゴジラ』(54

    初代ゴジラの“呪縛”から逃れた『シン・ゴジラ』 モルモット吉田が評する実写監督としての庵野秀明
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    nakag0711 2016/08/17
  • 菊地成孔の『セーラー服と機関銃 -卒業-』評:構造的な「不・快・感」の在処

    誰が一番悪いのだろうか(=誰が一番偉いのだろうか) 既に公開されており、興収的にも批評的にも大変残念な結果を呈している作品などというのは世の中、掃いて捨てるほどある。高い確率で作もそうであろう。 そういった作品を、ここぞとばかりに石持て追うのは端的にいじめであって、一部の血に飢えた病者(言うまでもなく、過去、いじめにあった経験に根差した怨念が消え切っていない人々)にたいする、大いなるサーヴィスには成るかもしれない(特にネット批評という偏ったフォームの中では)、とはいえ言うまでもなく、そんな事をする奴は地獄行だ。無償ならばともかく、金をもらっていじめに加担するのだから。 だがしかし、繰り返すがこれは仕事であって、何かを書かなくてはいけない。とはいえ心にもないことを書いて取り繕ったり、アクロバティックな論法で煙に捲く、といった事も、スキルとしては出来なくもないけれども、あっというまに見透かさ

    菊地成孔の『セーラー服と機関銃 -卒業-』評:構造的な「不・快・感」の在処
    nakag0711
    nakag0711 2016/03/17
    原作で続編が出てたとはしらなんだ
  • 菊地成孔の『セーラー服と機関銃 -卒業-』評:構造的な「不・快・感」の在処

    誰が一番悪いのだろうか(=誰が一番偉いのだろうか) 既に公開されており、興収的にも批評的にも大変残念な結果を呈している作品などというのは世の中、掃いて捨てるほどある。高い確率で作もそうであろう。 そういった作品を、ここぞとばかりに石持て追うのは端的にいじめであって、一部の血に飢えた病者(言うまでもなく、過去、いじめにあった経験に根差した怨念が消え切っていない人々)にたいする、大いなるサーヴィスには成るかもしれない(特にネット批評という偏ったフォームの中では)、とはいえ言うまでもなく、そんな事をする奴は地獄行だ。無償ならばともかく、金をもらっていじめに加担するのだから。 だがしかし、繰り返すがこれは仕事であって、何かを書かなくてはいけない。とはいえ心にもないことを書いて取り繕ったり、アクロバティックな論法で煙に捲く、といった事も、スキルとしては出来なくもないけれども、あっというまに見透かさ

    菊地成孔の『セーラー服と機関銃 -卒業-』評:構造的な「不・快・感」の在処
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    nakag0711 2016/03/17
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  • 『オデッセイ』の大ヒットから学ぶ、映画ファン以外の観客を映画館に呼び込む方法

    正直、今週はちょっと驚いた。コラムは映画の動員ランキング、興行成績のデータを分析するのが目的の連載で、予想をすることが目的ではないわけだが、それにしても『オデッセイ』がここまでの大ヒットとなることはまったく予想してなかった。 先週末、全国814スクリーンで公開された『オデッセイ』は土日2日間で動員33万223人、興収4億9601万2000円を記録。ぶっちぎりで初登場1位。もちろん、これは初動としてはリドリー・スコット監督作品史上最高、マット・デイモン主演作品史上最高の成績。リドリー・スコット監督による近年の同ジャンルの作品(配給も同じ20世紀フォックス)である『プロメテウス』(2012年8月公開)の初週週末2日間の興収は3億249万7000円だったから、その約1.6倍。カメオ出演(と言うには重要すぎる役どころだったが)ではあったものの、「宇宙で一人ぼっち」という作とのネタ被りが各方面か

    『オデッセイ』の大ヒットから学ぶ、映画ファン以外の観客を映画館に呼び込む方法
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    nakag0711 2016/02/12
  • (1ページ目)朝ドラ『まれ』はなぜ批判されたのか? 映像と脚本からその真価を検証|Real Sound|リアルサウンド 映画部

    NHKの連続テレビ小説(以下、朝ドラ)は、近年もっとも注目されているドラマ枠だ。それだけに毎回、激しい賛否が巻き起こるのだが、今週最終回を向かえる『まれ』は、主に物語のわかりにくさと登場人物の一貫性のない行動が、激しい批判にさらされた朝ドラだった。 しかし、『まれ』は当に不出来な作品だったのだろうか? そして何故、これほどまでに批判されたのか? 映像面と脚面から総括してみたい。 『まれ』は、能登で暮らす夢嫌いの少女・津村希(土屋太鳳)が、パティシエ(菓子職人)を目指す物語だ。物語は1994年からはじまり、2000年代を経て、2015年の現在に辿り着く。『ごちそうさん』『花子とアン』、『マッサン』と戦前・戦中・戦後(昭和)という時代を描く物語が三作続いた朝ドラだが、2013年の『あまちゃん』以来、久々に登場した現代が舞台の作品だ。 『まれ』で秀逸なのは、パソコンや携帯電話などといった00

    (1ページ目)朝ドラ『まれ』はなぜ批判されたのか? 映像と脚本からその真価を検証|Real Sound|リアルサウンド 映画部
    nakag0711
    nakag0711 2015/09/25
    伏線張ってそれを回収したからいい脚本だという論理には賛成できないな
  • 宮台真司の『バケモノの子』評:言葉ならざる親子の関係を描く、細田守監督の慧眼

    ポイントは「渋谷」と「渋天街」の対比 細田守監督は、概念的に徹底的して物事を考え、シナリオに落とし込むタイプなのかもしれません。あるいは、実在の父親にかけてほしかった言葉がたくさんあったのかもしれない。シナリオには「言葉が多すぎる」ことを中心に、注文をつけたい部分があります。でも、この水準の映画はなかなか作れないと思います。いい映画だと思います。 作のポイントは、現実を精確にトレースした「渋谷」と、バケモノ界の「渋天街」の対比にあります。「渋谷」はわれわれがよく知る看板にあふれ、文字に満ち満ちていますが、「渋天街」に入れば、文字がありません。そして主人公の九太(蓮)と熊徹の擬似的な親子関係はすべて、文字のない渋天街で行われます。 なぜ「文字に満ちた街」と「文字が一切ない街」を対比させたのか。僕がいろいろなところで書いているように、最近の若い人は「言葉にならない」ものを恐れる傾向が強い。統

    宮台真司の『バケモノの子』評:言葉ならざる親子の関係を描く、細田守監督の慧眼
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