新型コロナウイルスの感染拡大では、当初一部で「バイオテロでは?」といううわさが流れた。5月5日付日経新聞朝刊には、イギリス・エコノミスト誌の「生物兵器、高まる懸念 防衛後手」という記事が載っている。そこでは、「生物学的な脅威に対して、米経済と世界経済が脆弱なことが明らかになった。このことは、もし生物兵器による攻撃を受けたら、その打撃はとてつもなく大きくなることを示している」というアメリカの研究者の談話を紹介している。 今回はっきりしたのは、感染症の怖さは、病状が悪化して死に至ることもあるだけでなく、社会を不安と恐怖に陥らせ、人々を疑心暗鬼にさせて自粛と萎縮で心身に大きなダメージを与えること。そして、同じようなことが84年前の日本で起きていた。 死者は44人 静岡県浜松市で起きた「運動会の大福中毒」 空前の出来事なのに、記録にも人々の記憶にもあまり鮮烈に残っていない。歴史の中にはそんな事件や