老いた愛犬が 宵闇を吠えて 命は此処だと 神様に告げる 悲愴な畏れを 見つめる瞳は 聖なる無心で 光彩している 負けた怪物に 満月は射して 骸を抱けども 足音が過ぎる 毛並の軽さで 枯れない泪は 夢見る奇跡を 哀願している 「頬舐めて」
筆談で騒ぐ 少女の玄人 授業破綻に 爛漫と興る 校長の臓物 優れた精液 偉大な密教 気高い貞操 善心を隠す 孤独の素人 異端分子は 丁寧に捌く 禁則の青痣 腐った黒猫 愉快な絶望 根深い退屈 「ミニスカート」
朝化粧終えて 樺の枝を折り 窓辺に縋れば 神も見逃した 生憎の大雨に 傘は合唱して 汚れた革靴が 憂世を見通す 共依存止めて 骨の芯を噛み 悪夢に学べば 嘘も見離した 蜜月の結末に 熱は消失して 迎えた秋風が 言葉を見下す 「或る瞳」
絶版の祈りに 言葉を捧げて 空虚な血肉は 音も無く凍る 明朝体の脳が 寡黙に示した 恋する定理と 正しい泣き顔 本棚の慈愛は 不幸を透して 気儘な天使に 痕も無く贈る 最終稿の熱で 僅かに遺した 叛する神話と 親しい想い出 「命の文学」
路上で薫る 草臥れた娘 残暑が響く 薬漬けな夜 罪深い銭で 愛に悼めば 神も祝福を 見逃す筈だ 古い漫画に 思想を重ね 薄い麦酒で 子宮は悟る 泪の痕など 幸せな夢ね 口実は常に 鏡を殺すの 「キャロル」
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