久喜市の県立久喜図書館で司書として働きながら、全国の図書館で障害者サービスを推進する。「障害者が生きやすい社会にするには、まず公共図書館が先頭に立たなければ」。全盲となって生きることでの使命感が、活動の原動力だ。 もともと視力が弱かったが、中学生の時に左目を、小学校教師の仕事に情熱を注いでいた1985年には右目を、いずれも網膜剥離で失明した。仕事を続けることができなくなり、積み上げてきた人生を失う絶望感に襲われた。 それでも、「まだ自分は若い。経済的に自立しなければ」と気持ちを奮い立たせた。マッサージ師への転身も考えたが、ある時、司書として働く全盲の男性と知り合い、「これまでの人生を生かせるのでは」と後を追いかけた。 司書になるための勉強は、受け入れてくれる大学がなく、通信教育で行った。点字用の教材がないため、図書館で対面朗読のボランティアに読んでもらい、家では内容を吹き込んでもらったテー