大和綴, 改装・浅葱地宝相華唐草文緞子表紙, 金銀砂子・箔置紙見返, 本文料紙・両面雲母引斐紙, 25.5×15.0cm, 無辺界, 本文7行 万葉集の伝本は訓読の歴史の順、つまり加点の順に古点本、次点本、新点本と分類される。天暦五(九五一)年の詔によって源順等梨壷の五人が加点したという古点本は現存しない。次点本では桂本が最古の写本といわれ、嘉暦伝承本、藍紙本、元暦校本など十種ほどを数えるが、いずれも完本はない。本書・尼崎本もこの次点本の一つで、巻十六の古写本としては現存最古のものである。伝来については岡山県倉敷の某家よりとしかわかっていない。別筆ではあるが、本書と料紙、書式を同じくする断簡が多くの手鑑中「尼崎切」と呼ばれているところから「尼崎本」と名付けられた。(解説の出典: 平成8年度秋季展示図録『「今昔物語集」への招待 - 鈴鹿本「今昔物語集」国宝指定記念-』) 平安朝末乃至鎌倉初期