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2017年2月5日のブックマーク (2件)

  • ニーチェの森に迷う:市野川容孝「反ニーチェ」を読む | 群衆の居場所

    『現代思想』10月号は「相模原殺傷事件特集」で、深刻で読み応えのあるものだったが、私はなかでも市野川容孝「反ニーチェ」に考えさせされた。ちょうど先便でチョムスキーのフーコー批判に触れたとき、その源泉はニーチェまで辿れるのではないかと記したが、それと響き合ったからだ。「私の社会学信条」に記したように、中学生の頃読んだニーチェの影響は、こんなにショボい私にさえあるので、あらためてそれを相対化する必要を痛感したのである。 この論文は事件の背景に、ニーチェ的思考というか物語が、私たちの社会意識に巣くっていることがあると指摘し、そのニーチェ的物語のなかではニーチェがニーチェを裏切っているところがあるのだから、ニーチェの言葉でニーチェを超えていくことができるし、それこそが今必要だと主張する。とくに最後の主張が、いわゆる思想家の多元性論(大文字の著者から小文字の著者へ)を克服しているので興味深かった。

  • ダロン・アセモグル, ジェームズ・ロビンソン 『植民地主義の経済的影響』 (2017年1月30日)

    Daron Acemoglu, James Robinson, “The economic impact of colonialism” (VOX, 30 January 2017) 今日の世界に観察される巨大な経済格差は、膨大な歴史過程を経て実現した経路依存的アウトカムであるが、そうした歴史過程の中でも一際重要なものに、ヨーロッパの植民地主義がある。最近のVoxebookから抜粋した稿では、植民地主義が幾つかの根源的、しかし不均一な形で近代の格差を形成してきた、その経緯を検討する。 稿の初出はVox eBook 『歴史に掛かる経済と政治の長影 (The Long Economic and Political Shadow of History)』 一巻。同書はこちらからダウンロード可能。 今日の世界に観察される巨大な経済格差は、一朝一夜にして出現した訳でないことは当然としても、前世紀

    ダロン・アセモグル, ジェームズ・ロビンソン 『植民地主義の経済的影響』 (2017年1月30日)