瀬戸内に春の訪れを告げるイカナゴのシンコ(稚魚)漁が29日、大阪湾と播磨灘で解禁された。近年不漁が続くシンコ漁だが、兵庫県明石市の林崎漁港では初日の漁獲量がゼロに。漁業者の間では「記憶にない」などと衝撃が広がった。 同漁港ではこの日早朝、11隻が出港。午前7時半ごろに網を入れたが、シンコは全く取れなかった。午前9時すぎには、漁港の岸に重ねて置いていたイカナゴを入れる籠も撤去された。 大阪湾や播磨灘では近年、漁獲量が減少。生活排水の規制強化で瀬戸内海の水質が改善され、魚介の栄養につながる窒素、リンの濃度が低下したことが要因の一つ。資源量を確保するため漁期を短縮するなどしているが、回復には至っていない。 同漁港でも水揚げは減っており、昨年は、3月5日から25日までの漁獲量は約37トンだった。 林崎漁業協同組合の田沼政男組合長(66)は「40年漁師をしているが、ゼロは初めてだ」と肩を落とす。「何