【中村通子】ウイルスに感染すると、細胞はウイルスに対抗する複数の「防御たんぱく質」を分泌する。その仕組みの「スイッチ」物質を、奈良先端科学技術大学院大と大阪大のチームが突き止めた。安全で効果が高いワクチン開発につながる可能性がある。 細胞がウイルス感染を察知すると、細胞内の様々な物質がバトンリレーのように信号を受け渡し、インターフェロンなどの防御たんぱく質を作る。その信号伝達ルートは複雑で、分からない部分が多い。 奈良先端大の河合太郎准教授と大阪大の審良(あきら)静男教授らは、ウイルスに感染すると増えるイノシトール5リン酸という細胞内の微量物質に注目。この物質をマウスに注射すると、防御たんぱく質が作られ始める。 詳しく調べると、この物質は信号伝達ルートの要を握るたんぱく質を目覚めさせる「スイッチ」役を果たしていることが分かった。 河合准教授は「ワクチンの効果を高める添加剤として活用