日常生活に定着しつつある、行動経済学やナッジなどを使った「本能マーケティング」。ただし、その使い方を誤ると「毒薬」として逆効果を生みかねない。企業の失敗事例から、行動経済学との正しい向き合い方を考える。 「一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に違反するものでした」。3日、大幸薬品のホームページにはこうした文章が掲載された。同社の主力製品、空間除菌剤「クレベリン」の広告表示を巡る問題へのおわびだ。 自社サイトやテレビCMなどでクレベリンが「空間や物に付いたウイルス・菌を99.9%除去する」とうたっていた大幸薬品に対し、消費者庁は4月中旬、60グラムと150グラムの置き型2商品が景品表示法違反(優良誤認)に当たるとして再発防止命令を出した。広告表示に合理的根拠がなかったためだ。 クレベリンの好調な売り上げなどを主因として、同社は2020年12月期に過去最