この季節になると店頭に並び始める、さまざまな「さくら味」。桜の花は鑑賞するものであり、「花見」と称して飲み会を開催する口実として利用されるものであって、食べるものではない。それでもなぜか、「さくら味」と聞けば、日本人なら誰もが共通して思い浮かべる特有の”味像”を持っていることだろう。 さくら味とは何者なのか。その甘い魅惑に隠された真の姿を見てみよう。 さくら味ができるまで 「さくら味」の多くは、桜の葉を塩漬けにすると出てくる、ある成分によって作り出されている味だ。 乾燥している時には強い香りを持たなかった桜の葉は、この塩漬け作業を行っていると、「さくら味」らしい香りが出てくる。細胞から水分が失われていく途中で、細胞の中に含まれているさくら味の元となる成分にも変化が訪れるためだ。特に、葉が柔らかく成分が抽出しやすいことから、オオシマザクラの葉を塩漬けするのが一般的なようである。 葉を塩水に漬
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