FRB(米国連邦制度準備理事会)が利上げを進め、ECB(欧州中央銀行)も出口へ向けて動き出す中、日本銀行は3つの金融緩和の枠組みを組み合わせても2%のインフレ目標の達成は困難とみられている。なぜ、日銀は失敗しているのか、問題点を元日本銀行政策委員会・審議委員でクレディ・スイス証券取締役副会長の水野温氏さんに聞いた。 日銀は今の政策が有効と考える根拠を説明せず ――FRBは3月に3度目の利上げを行い、出口政策を進めています。ECBのドラギ総裁も、デフレに陥るリスクはなくなってきたということで、金融緩和政策を縮小している。日本銀行だけが、出口が遠いという感じです。 黒田東彦日銀総裁が2013年4月から4年も量的・質的金融緩和を行ってきて、2%の物価安定の目標の達成ができなかった。そこでマイナス金利政策を2016年の2月に導入したが、副作用が大きく深掘り(マイナス幅の拡大)は難しい。それに今、国