木箱 弟から聞いた話。 大学の友人が別のアパートに引越しをするんで、その手伝いにいったそうだ。 手伝いは弟の他に、同じ学校の二人。 レンタルした軽ダンプに家財道具を積んで、引越し先のアパートに向かった。 軽ダンプをその友人が運転して、弟は助手席。後ろから二人が乗った車がついてくる。 しばらく走っていると、後ろのひとりが弟にケータイを掛けてきた。 どこでもいいから車を停めてくれ、という。 コンビニの駐車場に入ると、なぜか二人の乗る車は、軽ダンプから離れたところに停まった。 またケータイが鳴って、お前だけ、こっちに来てくれ、という。 弟が車まで行くと、後部座席に乗るように言い、乗った途端にものすごい勢いで車を発進させた。 あいつを置き去りにする気かよ、と弟が言うと、助手席の奴が言った。 荷物を積む時、異様に重たい木箱があっただろう。国道に出たあたりで、その木箱がゆっくりと開いて、なかから黒い服