朝日新聞社が平成26年に一部記事を訂正・取り消すなどした慰安婦報道で被害を受けたとして、複数の国民グループが同社に損害賠償などを求めた訴訟は、今夏以降、原告側の敗訴が続いている。各訴訟は、慰安婦報道に関して同社の法的責任を問うという点では同じだが、法律上の性質は異なっている。主要な3件の訴訟の性質の違いを明らかにし、原告側が苦戦している理由や今後の見通しを分析した。 名誉毀損7月28日に請求が棄却されたのは、「朝日新聞を糺(ただ)す国民会議」が東京地裁に起こしていた訴訟。原告団に約2万5000人が名を連ねたことでも話題となった。 原告団は「『慰安婦は強制連行された』とする朝日新聞の誤報により日本国民としての名誉を傷つけられた」と主張。1人当たり1万円の損害賠償や謝罪広告の掲載を求めていた。 この裁判は、類型としては名誉毀損(きそん)訴訟に当たる。一般に名誉毀損での賠償責任が認められるには、