仕事の必要もあったので小林正弥『サンデルの政治哲学:〈正義〉とは何か』(平凡社新書、2010)を通読する。まあ全体としてはこの機会に(ブームの一部になっているものもそうでないものも含めて)サンデルの思想を他の論者との対抗関係なども踏まえて整理・要約しましょう、さらにそれと近似性のある・著者が主導してきた日本の「公共哲学」について宣伝しましょうという感じの本で、いや別に宣伝が悪いというものでもないし(正直相当に鼻にはつくが)、サンデル派(著者ご自身が対抗相手については「ロールズ派」「リベラル派」と呼ばれるのでこういう位置付けをしても怒られないと思うのだが)からの要約としてはこうなるであろうなあという話が要領よくまとめられていると思った。ただその、まあモノの書き方としてはややいい加減なところが目に留まることも多く、まあ急いでまとめたのかなあという感じではある。以下、ページ数は注記のない限りすべ